« 2009年5月31日 - 2009年6月6日 | トップページ | 2009年6月14日 - 2009年6月20日 »

2009年6月7日 - 2009年6月13日

この宇宙に愛を(超人ロック/つぼみ)

 ども、伝説のエスパー、たいちろ~です。(ウソです)
 今回のお題は”もしも超能力が使えたら、何をしてみたい?”ですが、空を飛んでみたいですね。いわゆる空中浮揚(Levitation)。
 SFでは、なんでもあり~のの超能力ですが、SFファンとそうでない人のために(*1)、今回ご紹介するのは、エスパーマンガの金字塔、”超人ロック”であります。

20090304
写真はたいちろ~さんの撮影
椿のつぼみです。


【本】超人ロック(聖 悠紀 少年画報社、SG企画)
 伝説のエスパー”ロック”を主人公とするSFマンガ。というより、宇宙年代記ともいえる作品。ロックはサイコキネシス(念動力)、テレポーション(瞬間移動)、透視、テレパシー、変身など、不可能なことは何もないといわれる最強の超能力者です。
【花】つぼみ(蕾)
 花が開く直前の状態のこと。転じて、前途有望な若者のことの表現にも使われます。


 現在でも発刊が続いてるシリーズですが、最初に登場したのは1967年、作画グループ(*2)の肉筆回覧誌。パソコンで絵を書いてブログに載せてる昨今、若い人にはピンとこないかもしれませんが、ノートに手書きでマンガを書いて回覧してた時代もあったんですね。私の中学時代の友人もこれをやっているヤツがいました(*3)。

 同人誌を扱ったマンガなんかを見ると、コミケ(*4)用の本をコンビニでコピーしたり印刷所に持っていたりしてますが、当時は、コピー機すらほとんど普及してなくて(*5)、学校のプリントなんかはガリ版に手回し輪転機の時代ですよ!(*6)

 さて、肝心の作品です。
 表題の”この宇宙に愛を”はロックの2作目のサブタイトル。ストーリーは

 ニンバスの作り出した”負の世界”による現実世界の破壊を食い止めるため、5人のエスパーが集められる。ロック、腕利き刑事のクレア、超心理学者のドクター・ロス、普通のお嬢さんクラリス、そしてロックをニンバスのかたきと狙うニーナ。
  エスパーとして迫害されて育ったニーナに対し、普通の人間との心の交流を説くロック。
 ”負の世界”を破壊したあと、療養所のお花畑にいるニーナにこう語りかけます

  ここはね、小さなつぼみをそっと育てるための所さ
  きれいな花をさかせるためにね・・・


 普通の男性とつきあうクラリスや、普通の両親から生まれたエスパーの赤ん坊に向ける慈愛に満ちた瞳。

 エスパーものの常として、迫害をされたこともあるロックですが、それでも普通の人とエスパーとの共存を信じているます。ロックにとっての最強の能力とは、さまざまな超能力ではなく”人類に対する希望を持ち続けること”ではないかと
 それこそが、ロックという作品の最大の魅力だと思います。

  青い流星のまたたきと 
  流れる銀河で この宇宙をそっとつつんで
  愛を この広い宇宙に
  この宇宙に愛を


 エピローグで歌姫リーザに変身したロックがこう歌っています

 少女マンガ的な絵柄、石ノ森 章太郎が好んだ実験的な表現など、現在の作風とはかなり変わっていますが、40年を超えて書き続けられるロックのシリーズの原点が確かにここにはあります。

 超人ロックの多くの作品は現在でも入手できますが、作画グループよる”超人ロック(2) この宇宙に愛を”は絶版になっています。
 ですが、e-Book(*7)からダウンロードで入手可能ですので、ぜひご一読ください。


《脚注》
(*1)SFファンとそうでない人のために
 この言葉は超人ロックの扉ページに記載されています。
(*2)作画グループ
 1962年に結成された45年以上の歴史を持つ漫画同人グループ。本作の聖悠紀、”風雲児たち”のみなもと太郎、”シルクロードシリーズ”の神坂智子、早川書房からSFマンガを出している横山えいじなど、多くのプロを輩出しています。これらの作品もけっこうオススメです。
(*3)私の中学時代の友人もこれをやっているヤツがいました
 こちらは回覧というより、1冊のノートを持ち回りと言うか奪い合いでそいつに都合のよいストーリーをどんどん書き足していくというもの。各人が好き勝手に書くのでストーリーがどんどん捻じ曲がっていきます。でも、面白かったんだよな~。
 みんな今頃、どうしてるんだろう・・・
(*4)コミケ
 世界最大の同人誌即売会”コミックマーケット”のこと。東京ビックサイトで行われのべ50万人以上が参加するビックイベントです。行ったことはありませんが・・・
(*5)コピー機すらほとんど普及してなくて
 キャノンが国産初の普通紙複写機”NP-1100”を発売したのは1970年のことです。このへんの開発の話はNHKの”プロジェクトX”で詳しく紹介しています。
(*6)ガリ版に手回し輪転機の時代ですよ!
 原理的にはプリントゴッコと同じです。大学時代には手書き原稿から印刷用の原紙を作ってくれる機械がありましたが、独特のにおいがあって、私にとっては”青春のにおい”のひとつです。詳しくはWikipediaをご参照ください。
(*7)e-Book
 マンガでは世界最大のeBookダウンロードサイト。絶版になった作品がこのような形で読めるのはありがたいことです。
 でも、ネットでダウンロードして本を読める状況ってのも、肉筆回覧の時代から見れば充分SF的なんでしょうね。


”超人ロック(2) この宇宙に愛を”のダウンロード

恋と愛の違い? 世界の中心で叫ぶかどうかだよ(世界の中心で、愛をさけぶ/ユリ)

 ども、愛のさすらい人、たいちろ~です。
 今回のお題は”「恋」と「愛」の違い?”ですが、これは簡単、叫ぶのが”愛”、忍ぶのが”恋”です。
 ということで、今回ご紹介するのは”世界の中心で、愛をさけぶ”です。

0052
写真はたいちろ~さんの撮影
近所のユリです






【本】世界の中心で、愛をさけぶ(片山恭一)
【DVD】世界の中心で、愛をさけぶ(主演 森山未來、長澤まさみ)
 小説は300万部突破、映画は観客動員数620万人の大ヒット作。
 高校2年生のアキ(亜紀)とサク(朔太郎)の出会い、なんということのないデート、無人島への旅、そして病に犯されたアキをつれての逃避行。
 切ない初恋と別れの物語です。
【花】ユリ(百合)
 花言葉は”威厳 純潔 無垢”。キリスト教では白いユリは聖母マリアの象徴(マドンナリリー)として描かれています。


 いや~、長澤まさみ、はまりました。
 確かにかわいい子なんですが(*1)、それより健康的でふつ~の高校生ぽかったのがすごく印象的でした。なんていうか、一緒にいるだけで楽しい時間を過ごせそうというか。

 映画版で有名なのは、病気で倒れたアキをオーストラリアへ連れて行く空港のシーン。
  アキ:行けないの?
  サク:行けるよ、この次は
  アキ:ないんだっては、この次なんてないんだっては
     まだ大丈夫だよ、まだ大丈夫だよ、
     生きてるよ、まだ私生きてるよ
  サク:アキ、アキッ!
     助けてください 助けてください! 助けてください!

 つぶやくようなアキの恋、慟哭するようなサクの愛

 でも、私としては、重じい(*2)の写真館でウェディングドレスを着て笑っているアキのほうがいいな。ユリのブーケなんか持っていないけど、そんなことはどうでもいいぐらい、素敵な笑顔です。
 
 現実にいっしょに着たウエディングドレスもいいですが、いっしょに着せてあげられなかった初恋の人とのウエディングドレスというのも感慨深いものがあります。

  恋に焦がれて鳴く蝉よりも、鳴かぬ蛍が身を焦がす
   (山家鳥虫歌 岩波文庫)

  しのぶれど 色に出でにけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで
   (平兼盛 小倉百人一首)

 恋と、愛、どちらがいいのか、未だにわかりません。

 ”世界の中心で、愛をさけぶ”は、今さらお勧めと言うのもはばかられる名作。
 ”瞳を閉じて(*3)”を聴くと今でも涙してしまいます。

  だから、柴咲コウなんか出さなくてもいいから、長澤まさみをもっと出せ!

《脚注》
(*1)確かにかわいい子なんですが
 1999年度の”東宝シンデレラオーディション”で史上最年少の12歳(小学生)でグランプリになったというのは、DVDを見た後に知りました。
(*2)重じい
 アキとサクが訪れる写真館の主人。とっても素敵な爺さんです。演じるのは山崎努。そういえば、山崎努はdocomoのCMで”池と沼の違い”の解説をしてました。
(*3)瞳を閉じて
 ”世界の中心で、愛をさけぶ”の主題歌。作詞、作曲、歌は平井堅。名曲です。

そうか薫くん、死んじゃったんだ・・・(ぼくらの時代/桜草)

 ども、いつまでも(気持ちだけは)若いたいちろ~です。
 2009年5月26日、作家の栗本薫さん(中島梓)が膵臓癌のため死去されました。 今回のお題は”追悼 栗本薫”ということで、”ぼくらの時代”をご紹介します。

Sakuso2
写真は桜草
季節の花 300”のホームページより






【本】ぼくらの時代(栗本薫 講談社)
 ぼく栗本薫、22歳、みずがめ座。某マンモス私大の3年生--バイト先のKTV局内で発生した女子高校生連続殺人事件をロック・バンド仲間の信とヤスヒコで解決しようとするんだけど・・・(講談社文庫 旧版の背表紙より)
【花】桜草(さくらそう)
 春先に咲くサクラソウ科の多年草。桜の花に似ていますが、桜とはまったく別物で、春先に咲く花ぐらいの意味だそうです。


 ”ぼくらの時代”は1978年に第24回江戸川乱歩賞を受賞。講談社文庫で読んだので、たぶん1980年代の前半ぐらい。ちょうど私も大学生だったはずです。当時は、小峰元(*1)とか、青春推理小説をよく読んでましたので、その一連でこれも読みました。

 小説の登場人物の”栗本薫”は男性でロックバンド”ポーの一族(*2)”のメンバーで長髪の二枚目。仲間の信はぼうぼうの長髪に山羊ひげ、ヤスヒコはアフロ・パーマ。
 髪の毛の話で、刑事の長さんと口論になっています。

 長さん:ましてロックだか何だか、気狂いみたいなものにうつつを抜かしている
     フーテンどもですからね。
     (中略)
     女みたいになよなよしやがってさ。
     あたしが総理大臣なら、ひとり残らずとっ捕まえて
     アタマ、たたっきって、軍隊にぶちこんでやるところなンだが
 信  :アタマの長さで、人間の値打ちが決まるんなら、
     昔の武士はみんなヤクザョ。
     ロックやるのが不良なら、
     ベートーベンだって、モーツァルトだって、
     生きてた当時は流行歌の作曲者だったのョ。(本書より)

 この小説の底流にあるのは、世代の違いによる生き方、感じ方の違い
 象徴的なのがTV局のディレクターの原田氏、40歳。発表年度とあわせると、38年ごろの生まれになりますので、おそらく戦後教育の第一世代かと。

 原田氏:しかし、ぼくはぼくの兄貴やおやじの世代のように、
     あたまっから、
     あんな頭しやがってと頑として否定もできない。
     するだけのせぼねができあがるまえに、
     何もかも変わっちまったからね
(本書より)

 実在の栗本薫は、1953年生まれと私より6歳年長、小説の栗本薫は私より2歳年長ですので、ほぼ同じ世代。
 世代で見ると長さんが戦前、原田氏が戦後第一世代の代表でしょうか。浅間山荘事件(*3)を学生運動の終焉と見ると、実在の栗本薫が学生運動の最後の世代、小説の栗本薫や私は学生運動に遅れた世代になります。
 
 語るべきバックボーンを持たない世代というのは幸せなのかもしれませんが、背骨のない世代であるのも確か。決して”俺達の若いころはお国のために鉄砲担いで~”とか、”ヘルメットにゲバ棒で機動隊とケンカして~”なんていう自慢話(?)を聞きたいわけではないんですけどね。

 もし、小説の栗本薫が実在の人物なら、現在は50歳すぎのはず。やっぱり”近ごろの若いモンは”とかいってるんでしょうか? 生きていれば、実在の栗本薫に書いて欲しかったような気もします。”おっさんの時代”とか。

 話は飛びますが、花言葉をいろいろ見てますと”桜草”の花言葉に”若い時代と悲しみ”というのがありました。そういえば、花屋さんでは春の早いときに売ってましたね。いろんなところにいっぱい咲いていたのに、写真、撮り損ねてました。
 栗本薫も江戸川乱歩賞の受賞者としては当時最年少で、本もいっぱいでています(*4)。ちょと似てるかなと思うと嬉しいです。でも、読み損ねているのが多いのもちょっと残念。
 読み損ねたといえば、”日本のまるペ(*5)”と言われた”グイン・サーガ(*6)”はどうなるんでしょうか? いつでも読めると思っているうちに結局、読まないままになっていました。今後はまだ未定とのことですが(YAHOOニュースより)、日本沈没の例もあるので(*7)、書いて欲しいような、欲しくないような・・・

 久しぶりに”ぼくらの時代”を読み直しましたが、30年前に自分達が言われていたこと、言っていたことが、今では立場が逆転して同じことを言ってるんですね。
 おぢさん世代としては、若い人にお勧めしてよいものやら・・・

 文末にはなりますが、謹んで、栗本薫さんのご冥福をお祈り申し上げます。


《脚注》
(*1)小峰元(こみねはじめ)
 1973年に”アルキメデスは手を汚さない”で第十九回江戸川乱歩賞を受賞。
 アルキメデス、ピタゴラス、ソクラテスなど、歴史上の哲学者などの名前を表題にした推理小説を多数発表しました。”アルキメデス~”意外はほとんど絶版とのこと(Wikipediaより)ですが、もったいない話です。
(*2)ポーの一族
 吸血鬼のエドガ、アラン、メリーベルを主人公とした萩尾望都の漫画。作中にも殺された女子高生を加えてバンド名を”メリーベルとポーの一族”にしようという話がでてきます。
 こういった、マンガネタがさらっと入っているところもけっこう受けてました。
(*3)浅間山荘事件
 1972年2月、河合楽器の保養所”浅間山荘”に連合赤軍がたてこもった事件。学生運動が大衆から離反した決定的なできごとでした。
 余談ですが、この事件当時の警察庁長官が後に副総理となる後藤田正晴、警備実施及び広報担当幕僚長が後に作家、初代内閣安全保障室長となる佐々淳行(さっさ あつゆき)です。
(*4)本もいっぱいでています
 約30年間に、新刊だけで約400冊の作品を出されたそうです(Wikipediaより)
(*5)日本のまるペ
 世界最長の小説”宇宙英雄ペリー・ローダン”シリーズのこと。2009年5月10日現在で、ハヤカワ文庫から360巻出版されています。
 高校の時、誕生日に1巻と10巻と20巻をプレゼントされたことがありますが、はっきりいってこれはイジメです。
(*6)グイン・サーガ
 栗本薫による、豹頭の戦士であるグインを主人公としたヒロイック・ファンタジーの大河小説。2009年6月現在、ハヤカワ文庫から正伝が126巻、外伝が21巻出版されています。ギネス非公認ながら、一人の作家の書いた世界最長の小説。
(*7)日本沈没の例もあるので
 小説の”日本沈没(第一部)”は小松 左京のベストセラーですが、第二部は谷 甲州が執筆。もっとも、小松左京はご存命です。
 余談ですが”日本以外全部沈没”は、筒井 康隆の小説です。

« 2009年5月31日 - 2009年6月6日 | トップページ | 2009年6月14日 - 2009年6月20日 »

最近のコメント

最近のトラックバック

無料ブログはココログ