« 2009年3月15日 - 2009年3月21日 | トップページ | 2009年3月29日 - 2009年4月4日 »

2009年3月22日 - 2009年3月28日

さよならだけが人生だ(唐詩選/梅と桜)

【本】唐詩選
 唐(7世紀~10世紀初頭)の詩選集。杜甫、李白、王維などの詩が多く掲載されています。編纂は明の李攀竜(りはんりょう、1514年 - 1570年)と言われています。
 共通一次(*1)以来、この分野はめっきりご無沙汰で・・・
【花】梅と桜
 ともに春を代表する花。花見といえばサクラですが、奈良、平安時代では梅を指すことの方が多かったようです。


2009021501 20090327 写真は、たいちろ~さん撮影。
左は鎌倉東慶寺のしだれ梅(2009年2月15日)
右は近所の桜(2009年3月27日)
まだ開花にはちょっと早いかな・・・



 私は、某社の企画関連セクションに所属しておりますが、現在の配属は3回目になります。さすがに、3回目ともなると、”恥ずかしながら帰って参りました(*2)”状態であります。

 3回目の配属ということは、2回は送別会をやってもらったということ。
 1回目の送別会の時ですが、景気づけに”いくぞー 1!、2!、3! ダーッ!”(*3)と言うところを、”いくぞー 3!、2!、1! ダーッ!”とカウントダウンをやってしまいました。
 あ~、恥ずかし! でも、”闘魂ビンタ”でなくて良かったか・・

 ということで、今回のお題は”さよならだけが人生だ”。

 原文は晩唐の詩人、于武陵(うぶりょう)の「勧酒(酒を勧む)」ですが、井伏鱒二(*5)の訳が有名。古典の時間だと思って、お付き合いの程を。
 ここ、試験にでるぞー(*4)

原文(*6)
 勧君金屈巵  君に勧む 金屈巵(きんくつし)
 満酌不須辞  満酌 辞するを須(もち)いず
 花発多風雨  花発(ひら)いて風雨多し
 人生足別離  人生 別離足る

井伏鱒二訳(厄除け詩集より引用)
 この盃を受けてくれ どうぞなみなみつがしておくれ
 花に嵐のたとえもあるぞ さよならだけが人生だ


問題(1)
 ここに記されている”花”は何でしょうか。

 ”月に叢雲(むらくも)、花に風(*7)”というぐらいなので、井伏鱒二訳は桜で間違いないと思いますが、于武陵のほうはどうでしょか? 于武陵は9世紀の中国の人ですので、梅の可能性が高いです。どなたか、正解をご存知の方いらっしゃいますか?

 この詩の解説は”耽読翫市 ─ 国語教師のブログ”に掲載されていますので、まじめな受験生の方はこちらをどうぞ。現役の国語の先生だそうですので、わかりやすく解説されています。


問題(2)

 さて、今年の春に私の3回目の送別会はあるのでしょうか???


《脚注》
(*1)共通一次
 正式名称は”大学入試共通第一次学力試験”。1979年~89年に実施された、現在のセンター試験の前身。年齢がわかるネタです。
(*2)恥ずかしながら帰って参りました
 元日本兵、横井庄一氏が太平洋戦争終結から28年目(1972年)にグアム島で発見され、帰国しました。”恥ずかしながら~”は、帰国時の挨拶で、この年の流行語になりました。これも、年齢の判るネタだな~。
 最近、”よっこらしょ”を”よっこいしょういち”と言うモトネタです。
(*3)いくぞー 1!、2!、3! ダーッ!
 ご存知、アントニオ猪木です。ちなみに、”1!、2!、3! ダーッ!”は商標登録されているそうです。
(*4)ここ、試験にでるぞー
 学校の先生の切り札のひとつ。仕事がら社内講師を時々やりますが、まず第一の目標は生徒を授業中に寝かさないことです。
(*5)井伏鱒二
 小説家。「ジョン萬次郎漂流記」、「山椒魚」など。読んでないな~。
(*6)原文
 金屈巵(きんくつし)は黄金の盃、満酌は、なみなみと注ぐこと、不須(もちいず)は必要がない(必須の須)です。
(*7)月に叢雲(むらくも)、花に風
 世の中の好事には、とかく差し障りが多いことのたとえ。叢雲はむらがり立つ雲、花嵐は、桜の花の盛りのころに吹く強い風、その風で桜の花が散り乱れること。

酒なくて 何の己が 桜かな(ギャラリーフェイク/桜)

【本】ギャラリーフェイク(細野不二彦 小学館)
 贋作専門のアートギャラリー「ギャラリーフェイク」のオーナー藤田玲司を主人公に、美術を題材とした短編マンガ。第41回(1995年度)小学館漫画賞受賞。
 今回取り上げているエピソートは”花観る人々”(スピリッツコミックス24巻、ギャラリーフェイクTHE BESTに収録)
【花】
 日本を代表する花。花言葉は”優れた美人、”純潔”、”心の美しさ”など。平安時代以後の日本で”花”といえばサクラのこと。(平安時代以前は梅を指すそうです)。意外ですが、分類上はバラ科。

Photo
 写真は、たいちろ~さん撮影。
 近くの公園の桜。まだ蕾です
 仙台人には、まだ早すぎのお題です




 そろそろ、桜の開花の話題が出るようになってきました。転勤をして判ったのは、桜の開花ひとつとっても地方によってずいぶん感じ方が違うんですね。関西や東京では”入学式”のイメージですが、仙台あたりにくると、入学式の時期に咲けば早咲きの年。青森の人に言わせると、桜はゴールデンウィークの花とのこと。季節の移ろいでは、日本も狭いようでいて広い国です。

 さて、桜といえば花見。食べたいものは奥様手作りのお弁当と少しのお酒でしょうか。 おかずは、巻き寿司にかしわの照り焼き(*1)、ソーセージ、しゃけ、色合いにはプチトマトなんかも欲しいですね。関西人にとって甘い卵焼きは邪道です(*2)。

 お酒は軽く日本酒など。ほろ酔い気分で充分です。”ほほがほんのり桜色”が花見の風情。

  酒なくて 何の己が 桜かな

 とは言っても、真っ赤になるまで酔っ払って、焼き鳥に乾き物にカラオケ三昧ってのはおっさんのやることです。てか、桜を見ろよ!

 花見の出てくる作品はたくさんありますが、ここでは粋の例として、”ギャラリーフェイク”から”花観る人々”を。

 何年も花を咲かせていない老齢(うば)の桜ですが、今年は満開。その下でのお花見です。ただ、登場する花見重(*3)に徳利(とっくり)といった道具だてがすごい。
 尾形光琳(*4)作と伝えられる花見重に、乾山(*5)の作と思われる徳利。いずれも国宝級の逸品。
 図柄は、本にて見ていただきたいのですが、流水文という図案的な川の流れに桜の散る花びらをあしらったお重といい、桔梗と思われる花が描かれた徳利といい、まさに江戸文化の華です(*6)。

 ”国宝級の重に、くくく、食いものを詰めこんだのか~~~っ!?”

 と怒っているお役人もでてきますが、それはヤボと言うもの。本来、こういう使い方をするために、作られたんですから。お大尽の遊びとはこういうものなんでしょう。

 ギャラリーフェイクの主人公、藤田玲司は元ニューヨークメトロポリタン美術館 (MET) でプロフェッサーと呼ばれたキュレーター(*7)という設定。ギャラリーフェイクはその知識を生かし、”美術を扱った作品”としては逸品です。凡百の美術解説書よりよっぽど楽しめます

 江戸の工芸品というのは、普段なかなか接することはありませんが、戦隊モノでそれっぽいのが出てくる昨今(*8)、たまには子どもと一緒にこんな世界で遊んでみるのもよろしいかと。


《脚注》
(*1)巻き寿司にかしわの照り焼き
 食べ物の名前は、地方によって微妙に異なります。関西で巻き寿司は、関東では太巻きといいます。東京に来てすぐ、寿司屋で巻き寿司を頼んだところかんぴょう巻が出てきて、寿司屋の大将と言い合いになりました。
 かしわは鶏肉のこと。関東の人にはほとんど通じませんが、なぜか仙台では通じます。(*2)甘い卵焼きは邪道です
 卵焼きの味付けは関東では甘い味、関西では塩味です。
(*3)花見重
 江戸時代から明治までの間に盛んに作られた、花見用の携帯弁当箱です。重箱を中心に取り皿・徳利・盆などの小道具が組み込まれ、表面には、贅をこらした絵柄が蒔絵(漆工芸の技法)で描かれたりしています(作品から引用)。
(*4)尾形光琳(おがた こうりん)
 江戸時代(1700年代初頭)の画家、工芸家。後に「琳派」と呼ばれる、画派の代表的画家。”燕子花図屏風(かきつばたずびょうぶ)”、”波濤図(はとうず)屏風”、”紅白梅図屏風”など。
 図絵はsalvastyle.comをご参照ください。
(*5)乾山(尾形 乾山 おがた けんざん)
 江戸時代の絵師、陶工。尾形光琳の実弟。乾山が器を作り光琳が絵を描いた兄弟合作の作品も多い。
 図絵はMIHO MUSEUMをご参照ください。
(*6)流水文という図案的な川の流れに
 フィクションですが、本当にあったら、間違いなく美術の教科書に載るでしょうね。細野不二彦の画力があって初めて成り立つ作品です。
(*7)キュレーター
 博物館、美術館、図書館などで、施設の収集する資料に関する研究や、専門知識で業務の管理監督を行う専門職、管理職のことです。
(*8)戦隊モノでそれっぽいのが出てくる昨今
 侍戦隊 シンケンジャー(テレビ朝日系列で毎週日曜7:30に放送)のエンディングテーマでは、江戸絵画をバックに使っています。

« 2009年3月15日 - 2009年3月21日 | トップページ | 2009年3月29日 - 2009年4月4日 »

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

無料ブログはココログ