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彼にとっては、地球そのものが荒野さ(球形の荒野/地球)

 ども、キーボードは早いが字はヘタクソなたいちろ~です。
 今年度は”松本清張生誕100周年”にあたり、記念映画作品として”ゼロの焦点(*1)”がヒットしているようです。
 若いころは、”社会派ミステリーの松本清張vs本格派ミステリーの横溝正史”とよく読んでたんですが、最近はとんとご無沙汰で。TVで”砂の器”、”黒革の手帖”、”点と線”とかやってたんですがねえ(*2)。
 ということで、今回は同じ失踪モノとして”球形の荒野”のご紹介であります。
 (だったら、素直に”ゼロの焦点”を紹介すりゃいいのに・・・)

Photo
写真は”気象衛星センター”のHPより。
静止気象衛星「ひまわり」による地球の映像です









【本】球形の荒野(松本 清張 文春文庫)
 芦村節子は奈良の唐招提寺を訪問した時、その芳名帳の中に、亡き叔父・野上顕一郎の筆跡を見つけた。野上の娘久美子の恋人である新聞記者、添田彰一は、ひょっとしたら顕一郎が生きているのではと考え始める・・・
【自然】地球
 地球の総面積は5億1千万km2、そのうち海が3億6千万km2、陸地が1億5千万km2。地球上の砂漠の面積は約5440万km2ですが、毎年6万km2の規模で拡大を続けているとのこと。地球環境を守るためにも、地球温暖化対策に協力したいものです。

 舞台は1960年ごろと戦後の空気が色濃く残っている時代。第二次世界大戦の末期、ヨーロッパの中立国で一等書記官だった野上顕一郎は終戦処理に深くかかわってましたが、スイスで客死した人物です。で、彼とそっくりな筆跡が芳名帳から発見されたのがきっかけかのように、かつて公使館のメンバーだった外交官補の村尾がピストルで撃たれたり、駐在武官の伊東や、書記生の門田が殺されたりとの事件が発生します。
 でもこの物語のミステリーとして面白いところは、その事件の背後にある野上顕一郎の死の謎をめぐる物語です。

 一時期、松本清張にはまっていたので、確か”ゼロの焦点”も同じころ読んだはずですが、”球形の荒野”のほうが印象に残っているのは、野上の知人である元新聞記者、滝の口から語られるこのフレーズがあったからです。

 添田:それで、野上さんはこれからどうするんです?
 滝 :フランスに帰るかもしれないが、
    その前に、本人はチュニジアあたりの砂漠を歩いてみたいとも言っていた
 添田:砂漠でっすって?
 滝 :野上さんにとっては、パリも沙漠も同じことさ。
    地球上のどこへ行っても、彼には荒野しかない。
     (中略)
    彼にとっては、地球そのものが荒野さ。

 故郷や家族を捨てたものにとってはどこに行っても喪失感はなくならないんでしょうね。使命に殉じた人でさえ、望郷の念はすてがたいんでしょう。娘に会うためにいろんな手段を使ってアプローチしているし・・・
(ネタバレになるので、あんまし書けないのがもどかしい!)

 立場は違いますが、逮捕された市橋容疑者(*3)だってどんな気持ちで逃げ回ってたんでしょうか? 生活や過去のいっさいを捨て、顔まで変えての逃亡劇は彼の人生にとってどれほどの意味があったんでしょうか?

 話は変わりますが、芳名帳に書かれた筆跡だけで(*4)人間が確認できるかと思われるでしょうが、これは可能です。
 私の大学時代の友人でヤ○ダ君というのがいました。彼は右上がりカクカクの独特な文字を書く人で、クラス中に”ヤ○ダに匿名のアンケートはない”と言わしめた人物です。確か商社に就職したはずなので、パリとかチュニジアとかにも行ったかもしれません。

 ”球形の荒野”は社会派ミステリーの古典としても面白い作品です。せっかく”ゼロの焦点”が話題になっているので、こちらもぜひお読みください。

《脚注》
(*1)ゼロの焦点
 結婚したばかりの妻を残し、男が失踪。残された妻はその後を追い、北陸へ旅立つが、そこで見たものは夫の隠された一面と、そして時代に翻弄された女たちの、悲しい運命だった。
 2009年に広末涼子、中谷美紀、木村多江の主演で映画化。
(*2)砂の器、黒革の手帖、点と線
 砂の器:2004年にTBSで放映。主演は中居正広。
 黒革の手帖:2004年、05年にテレビ朝日で放映。主演は米倉涼子。
 点と線:2007年にテレビ朝日で放映。主演はビートたけし。
(*3)市橋容疑者
 千葉県市川市で07年3月、英国人の英会話講師リンゼイ・アン・ホーカーさんが殺された事件。市橋達也容疑者(30)は2年半の逃亡の末、09年11月2日に大阪府茨木市で逮捕されました。
 別に同情する気はないんですが、逮捕された所が私の出身の大阪だったのでついつい気になります。
(*4)芳名帳に書かれた筆跡だけで
 本書に出てくるのは米芾 (べい ふつ 宋の四大家の一人)の文字。
 国立故宮博物館のHPで”蜀素帖(しょくそじょう)”というを見ることができます。

 奥様ブログ 「フラワークラフト作家”Ann”のひとりごと」はこちら

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