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SF者ってさあ、大体猫にピートって名前つけるよな(夏への扉 新訳版/キャットミント)

 ども、もしも猫を飼うならどんな名前するかを考えるたいちろ~です。
 古来、ネコの名前といえば、タマ、ニャンコ先生、トム、ジジ、シャミセンなど(*1)山ほどありますが、SF者にとって思い入れがあるのが”ピート”。表題のセリフは”今日の早川さん(*2)”の中でレア本コレクターの国生さんが、超SF小説オタクの早川さんに言ったセリフ。この”ピート”って名前の猫が出てくるのが、最近新訳版が出版された”夏への扉”であります。

Photo


写真は”私の花図鑑”のHPより。
キャットミントです。





【本】夏への扉 新訳版(ロバート・A・ハインライン 小尾 芙佐(訳))
 最愛の恋人と親友に裏切られ、仕事を失い、大切な発明さえも奪われたデイヴィスは、コールドスリープとタイムマシンを駆使して本当の幸せをつかみに行く・・・
 ジャンルとしてはタイムトラベルモノですが、どっちかというと恋愛小説かな?
【花】キャットミント
 ハーブの一種ですが、花から猫の好きな香りを出すという記載と出さないというのとありました。香がするのがはっきりしているのは近接種の”キャットニップ”のほう(ハーブとしてはこっちの方メジャー)。どうもHPを見ているとこの二つが混同されているように思えます。

 ”夏への扉”の主人公のデイヴィスは発明家。その飼い猫が”審判者ペトロニウス(*3)”、愛称”ピート”。ストーリーは時間順に書くと

  1970年 デイヴィスは恋人に裏切られ、コールドスリープ。猫なし。
  2000年 コールドスリープから目覚める。無一文。
  2001年 タイムマシンで、1970年へ
  1971年 恋人と結ばれるために、コールドスリープ。猫付き。
  2001年 コールドスリープから目覚め、恋人のもとに。猫いっしょ。

 こう書いてしまうと、味もそっけもないですが、難しいんですよ、タイムトラベルもののあらすじ説明するのって。実際に読んでみるととても面白いのに。
 表題になっている”夏への扉”は小説の冒頭に出てくるこのフレーズから

   人間用のドアの少なくともひとつは、
   夏の世界に通じているとピートは信じて疑わなかった。
    (中略)
   だが、夏への扉への探索をやつはあきらめようとはしなかった。
   1970年12月3日、ぼくもいっしょに夏への扉を探し続けていた。

 最終章でのフレーズ

   やつ(ピート)の雄々しい小さな魂が
   ”夏への扉”を見つけてくれるように心から願っている。
   そこにはキャトミントが生い茂り、雌猫は親切で・・・
(以下略)

 SF者はもちろん猫好きもイチコロな名文句です。

 ハイラインが書いたのが1956年。1970年のコールドスリープも2001年のタイムマシンも完成しませんでしたが(*4)、デイヴィスは2001年を素敵な時代だといってくれています。同じ時代というものを、過去の人にとっての未来と、未来の人の過去として見た時(あぁ、時制がややこしい)、必ずしも良い時代であったとは限りません。
 ”夏への扉”が”すばらしき未来”の比喩だとすると、どの時代であっても未来は必ずすばらしいものだと思いたいものです。

 ”夏への扉”はSFのベスト作品にも選出されている名作。2009年に小尾芙佐によって新訳版が登場。小尾はダニエル・キイスの傑作”アルジャーノンに花束を(*5)”を翻訳した人でもあります。SF者にも猫好きにもぜひとも読んでいただきたい本です。

 ところで、もし私が猫を飼うなら名前は絶対に”シュレーディンガー(*6)”です!

《脚注》
(*1)タマ、ニャンコ先生、トム、ジジ、シャミセンなど
 タマ:国民的に有名はサザエさんちの白い飼い猫。
 ニャンコ先生:”いなかっぺ大将”(川崎のぼる)に登場するトラ猫。
    主人公の大左衛門の柔道の師匠。アニメ版の声は愛川欽也さんです。
 トム:世界的に有名な”トムとジェリー”に登場する水色猫。
 ジジ:”魔女の宅急便”(角野栄子、スタジオジブリ)に登場する黒猫。
 シャミンセン:”涼宮ハルヒの憂鬱”(谷川流 いとうのいぢ)に登場する
    オスの三毛猫。三毛猫はほとんどがメスでオスはほとんどいません。
(*2) 今日の早川さん
 本をこよなく愛する女性たちによる4コママンガ。Web版及び、早川書房から書籍版2冊が刊行中。本好きの人には必読の書です。
 Web版はこちらからどうぞ
(*3)審判者(アービター)ペトロニウス(*3)
 名前のモデルは実在の人物です。
 ローマ帝国ユリウス・クラウディウス朝期の政治家、文筆家である。第5代皇帝ネロの側近であった人物として知られ、小説「サテュリコン」の作者と考えられている。(Wikipediaより)
(*4)ハイラインが書いたのが1956年~
 1956年は、日本が国際連合に加盟した年。1970年には「人類の進歩と調和」をテーマとした日本万国博覧会が開催されました。
 2001年はアメリカ同時多発テロ事件(9.11)のあった年です。デイスカバリー号は飛びませんでしたが。
(*5)アルジャーノンに花束
 知的障害者のチャーリーは脳手術を受けて天才となるが、この手術には欠陥があった。高い知能を得たことによる孤独感と、失われていく知能への焦燥感・・・
 SFにおける最高傑作のひとつです。
 ちなみに、”アルジャーン”はハツカネズミの名前であります。
(*6)シュレーディンガー
 シュレーディンガーは量子力学の”波動力学”を構築したオーストリアの理論物理学者です。
 ”シュレーディンガーの猫”は、彼が提唱した思考実験の名前で、箱の中にいる猫が半分生きていて、半分死んでいる状態のこと。詳しく説明すると長くなるので、ご興味のある方はWikipediaをご参照ください。

 奥様ブログ 「フラワークラフト作家”Ann”のひとりごと」はこちら

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