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皇帝を皇帝たらしめいているのは良き人格じゃないんだな、これが(蘭陵王/ヒノキ)

 ども、亀田vs内藤の試合(*1)は結局見なかったたいちろ~です。
 先日、田中 芳樹の”蘭陵王”を読みました。
 ”蘭陵王”こと”高長恭(こう ちょうきょう)は、中国の北斉の皇族。数多くの軍功を立てた武将ですが、”北斉書”に”貌は柔(ヤサ)しく、心は壮(イサ)ましく、音(コエ)と容(カタチ)、兼ねて美し”といわれた美丈夫でもあります。
 こんな立派な人が仕えた皇帝”無愁天使・高緯”。奸臣たちを信任してやりたい放題で北斉を滅亡させてしまいます。
 ということで、歴史の不条理を感じつつ”蘭陵王”の紹介であります。

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写真はたいちろ~さんの撮影。
近所のひのき林です。













【本】蘭陵王(田中 芳樹 文藝春秋)
 六世紀の中国、北斉は北周、陳、突厥と三方を強敵に囲まれていた。
 蘭陵王は、滅亡に瀕した国を必死でささえていたが、皇帝の嫉妬をかいやがて悲劇が訪れる・・・
 舞楽の世界ではメジャーなものなのだそうですが、浅学菲才の身なので知りませんでした。(YouTubeで観ることができます
【花】ヒノキ(檜、桧)
 日本と台湾にのみ分布するヒノキ科の針葉樹。なので英語では”Japanese cypress”(cypressは糸杉)。
 高級建築材として古事記も示唆されていて、法隆寺や伊勢神宮にも使われているという由緒ある樹です。
 花言葉は”不滅、強い忍耐力”。

 蘭陵王の逸話として、鬼の仮面(雅楽では竜頭)を着けて戦うというのはありますが、その理由は「その美貌が兵卒たちの士気を下げるから」。武勲を挙げるたくましさ、類まれなる美貌、そしてミステリアスな仮面とボーイズラヴにうってつけの人物ですが、そんな腐った目で見てはいけません!

 そんな人が国の為とはいえ、腐敗した皇帝に仕えて外敵と戦うわけですが、暗愚な皇帝は国内の有為な人物を嫉妬や猜疑心から次々粛清していきます。まさに内憂外患の状態にあるわけです。

 戦友でもある名将斛律光(こくりつこう)が讒言により殺された時の蘭陵王の言葉。

  もはやこの国から忠臣も良将も消え去りました。
  柱も壁もなく、屋根だけが無事ではありえませぬ。
  もう終わりです。

 同じく田中 芳樹の”銀河英雄伝説”の中でも、こんなことを言っています(*2)。

  ゴールデンバウム王朝も、これで終わった。
  みずからの手足を切りとって、どうして立ってることができるだろう

 つまり、下に支える人がいてこそのトップなんですね。

 屋根に取り付けられる小柱、防火壁や装飾のことを”うだつ”と言います。生活や地位が向上しないのを”うだつがあがらない”というあれです。で、柱がしっかりしていないと屋根もうだつも上がらない訳です。
 ひのきなんかが日本では建材として使われますが、写真を見ていただくとわかりますように、ひのきって地面からまっすぐ直立する樹です。もちろん真っ直ぐじゃないと柱にはなりません。
 人も同じで、ひねごびると支えてはくれません。なのに中国も皇帝(とそのとりまき)って、部下をいぢめたり殺したりする人のほうが多いように見受けられます。これが行き過ぎると、蘭陵王の弟の漁陽王のようになっちゃいます。

  尊敬され、人望があったら、この国では殺されます。
   (中略)
  この国で生きていくには、軽蔑され、笑われ、
  それでも平気な表情で遊び呆けるしかないのですよ、諸兄・・・

 部下がこうなっちゃったら後は滅びの道へまっしぐら!
 上の人が嫉妬や猜疑心から有為の人を潰しちゃったら、媚びへつらうヤツか、こんなのしか残んなくなります。私も幹部社員の端くれなんで、肝に肝に銘じるべきでしょう。

 中国史を扱った本を読んでいると、人間の歴史って武力と血による権力闘争の積み重ねであると思ってしまいます。中国四千年を定年真近の60歳のおじさんだとすると、文化大革命(*3)ですら59歳6ヶ月の時にやってる事になりますので、そこらのヤ○ザさん真っ青の血みどろ人生であるといるでしょう。
 こんな人たちに清廉潔白な人格を求めるのはいかがなものかと。そんな人が皇帝になれば望ましいですが、それは庶民のファンタジーなのかもしれません。
 ま、現在の日本は選挙で首相を選ぶのでここまでえげつないことはやらないと信じたいですが、政党の選択基準は政策と運営能力であって、人格じゃありませんし(*4)。

 スポーツの世界での皇帝であるチャンピオンや横綱って、実力をもってその地位を獲得したのであって、人格があるからなったわけではありません。なので、お行儀の良い亀田兄弟とか、品行方正な朝青龍を期待するほうが間違っていると思うんですけんどねぇ・・・

《脚注》
(*1)亀田vs内藤の試合
 2009年11月29日に行われた「プロボクシングWBC世界フライ級タイトルマッチ」のこと。”ごんたくれ”亀田興毅vs"いい人”内藤大助の因縁試合。
 結果は12回判定で亀田興毅の勝ち。
(*2)田中 芳樹の”銀河英雄伝説”の中でも~
 自らの領地に核攻撃を加えようとするブラインシュバイク公に対し、部下のアンスバッハ准将がつぶやいた言葉。
 ”銀河英雄伝説 野望編”に収録。
(*3)文化大革命
 本来は中国における新しい社会主義文化を創生しようという運動だったはずが、実質的には、毛沢東、四人組によるて中国共産党指導部内の大規模な権力闘争になりました。
 時間的には1966~76年にあたり、犠牲者数は数百万人から一千万人以上ともいわれています。
(*4)人格じゃありませんし
 一回くらい人格を争点に選挙をしてみても面白いかも。”友愛の人”vs”捨石の人”とか
 何かで読んだんですが、入学試験は純粋に学力で選別するから良いのであって、人格のみを評価して合否を決めたら、不合格の時へこむでしょう。

 奥様ブログ 「フラワークラフト作家”Ann”のひとりごと」はこちら

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