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惑星規模の家庭菜園?!(メイキング・オブ・ピクサー/苔/ジェネシス計画)

 ども、井上直久画伯(*1)の教え子だったたいちろ~です。(これは本当)
 息子がプレステ3を買いまして、ゲームをやっているのを後ろから見ていましたが最近のコンピューターグラフィックス(CG)ってすごいですね。BASICの点々でお絵かきしていた世代(*2)としてはCPUの無駄遣いとしか思えませんが、科学技術の進歩には娯楽が欠かせないんでしょう。
 ということで、今回ご紹介するのはフルCGアニメを作った人たちの本”メイキング・オブ・ピクサー”であります。

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写真はたいちろ~さんの撮影。
庭にある苔。上空から見た森林に見えなくもないので。






【本】メイキング・オブ・ピクサー(デイヴィッド・A・プライス  早川書房)
 アニメーション映画監督ジョン・ラセター(John A. Lasseter)を中心に、”トイ・ストーリー”、”Mr.インクレディブル”などを生み出したピクサー(Pixar Animation Studios)の歴史をつづったノンフィクション。
【花】(こけ)
 一般的には地表や岩の上にはいつくばるような植物。耕作などすると育たないと思われているので、君が代では”苔むす”は長い時間のたとえになっています。
【家庭菜園】ジェネシス計画
 ”スタートレックII カーンの逆襲”に登場するテラフォーミング計画。
 テラフォーミングとは、人為的に人の住めない惑星を地球に似た環境に造り変える技術のことです。”ジェネシス計画”では物質を分解し再構築することで短時間に改造するころができますが、現実的な技術でやろうとすると火星の場合なら極冠の氷を溶かして、苔などの藻類をばら撒いて酸素を作ってと、100年~10万年程度の時間がかかるそうです。
 まあ、究極の農耕技術ということで・・・

 この会社の前身である”ルーカスフィルム(ILM)”時代に作成したのが、上記の”スタートレックII カーンの逆襲”に登場する”ジェネシス計画”のテラフォーミングシークエンス
 宣伝用でも使われたこのシークエンスは当時のSFファンにとってまさにセンス・オブ・ワンダーなシーンでありました。
 そう感じたのは私だけではないようで、このシーンのイメージは”DAICON4(*4)”のオープニングアニメを経て、”電車男(*5)”のオープニングにつながっていくことになります。

 さて、ピクサーは、今でこそフルCGアニメ作成の会社として有名ですが、元々はグラフィックス専用ハードウェアやレンダリング(お絵かき)ソフトを作っていた会社です。というか、CGアニメを作りたいがためにコンピュータ会社を隠れ蓑にしていたといったほうが正確でしょうか。

 主人公のジョン・ラセターはアニメ監督ですが、ピクサーにはコンピューターグラフィックスの技術者が山のように出てきます。本の前半は1970年代のコンピューター技術史、後半はアニメーション史になっています。おそらくこの本を読まれる方は映画ファンが多いんでしょうが、コンピュータ屋としては前半もけっこうGoodです。”トイ・ストーリー”の画面解像度はわずか1,536×922ピクセル(*6)だそうですが、当時、SUNのコンピューター117台で1フレーム45分から20時間かかったとのこと。 こうやって考えると、動画をリアルタイムで処理しているプレステ3がいかにハイスペックなマシンかということが良くわかります。

 ただ、テクノロジーの進歩が、アニメーションとしての面白さとイコールかというと必ずしもそうではありません。キャラクターや動き、そしてストーリーの面白さがアニメーションの命。技術は動きの面白さなんかを進歩させますが、それはアニメの一要素にすぎないことが後半を読むと良くわかります。
 ま、建物を作れば輸出産業化を推進できるなんてハード偏重の発想より、人材育成といったソフトに金をかけるほうがよっぽどいいんじゃないかと私は考えますがね。

 この本はコンピュータグラフィックスの黎明期から実用期にかけての技術史として読むか、新しい分野としてのコンピューターアニメ史と見るかはそれぞれの好みでしょうが、どちらで読んでも面白い本です。

《脚注》
(*1) 井上直久画伯
 ”イバラードシリーズ”やジブリのアニメ”耳をすませば”の美術を担当された画家。以前、私がいた高校の先生をされていて美術を教えてもらいました。これでもけっこう美術の成績は良かったんですよ。
(*2) BASICの点々でお絵かきしていた世代
 パソコン黎明期のグラフィックは640×200ドット、表示色8色というシロモノでした。これでお絵かきするにはBASICのLINEコマンドや、PAINTコマンドとアセンブラで組んだ中間色を出す命令を組み合わせる必要がありました。
 当然インターネットでプログラムをダウンロードなんてあるわけもなく、雑誌に掲載されているプログラムを自分でせこせこ入力することになります。
 ラムちゃん(*3)なんかよく載ってたよな~
(*3)ラムちゃん
 高橋留美子の漫画”うる星やつら”のヒロイン。トラ柄のビキニスタイルで空を飛びまわる姿が1980年当時大ヒットしました。
 以前、ハロウィンでこのコスプレをしたお嬢さんの団体がいましたが、リアルでやられるとさすがに目のやり場に困ります
(*4)DAICON4
 1983年に大阪で開催された日本SF大会のこと。このオープニングアニメを作成したのが、のちにエヴァンゲリオンを作成した”ガイナックス”を設立することになります。
(*5)電車男
 全国のヲタクを勘違いさせたTVドラマ。本編は見ていませんが、オープニングアニメはYouTubeで見ました。
(*6)1,536×922ピクセル
 ピクセル(画素)は画像を構成する点々のことで、画面が横1,536ケ、縦が922ケの点々で構成されていることを表します。デジカメ風にいうとだいたい1.4メガピクセル。今や携帯電話に付いてるカメラ機能ですらあたりまえに撮れる解像度です。
 ひとつの点々の色は光の三原色(赤、緑、青)に分解してして3バイト(24ビット)を割り当てるので、上記の例だとだいたい4メガバイトの記憶容量になります。
 これを圧縮技術を使ってサイズを小さくするので、実際にはだいたい0.5メガバイトくらいの容量に収まります(静止画で換算の場合)。
 奥様から質問がありましたので、この場を借りてお答えしました。

 奥様ブログ 「フラワークラフト作家”Ann”のひとりごと」はこちら

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