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まあ、山は逃げないから、オレみたいにアワてないのが一番だね(岳/大雪山のお花畑)

 ども、最近メタボで山に登れていない(*1)、たいちろ~です。
 今回のお題は”夏に行くなら、あなたは海派? 山派?”ですが、私は山派です。これでも、高校時代は”山岳スキー部”、大学では”ワンダーフォーゲル部”に所属しておりました。最近はどっちかつーと”温泉好き~部”ですけど・・・
 ということで、今回は山岳マンガの傑作”岳”をご紹介。

Toumurahana1
写真は大学時代の友人より。
大雪山のお花畑です。


【本】岳(がく)(石塚真一 小学館)
 主人公の島崎三歩は世界の巨峰を登頂した人ですが、現在は山岳救助ボランティア隊員。住所は北アルプス三の沢のテント住まいという根っからの山バカ。
 山で事故にあった人を助ける話ではありますが、助けられなかった話も多々あります。でも、山を愛する三歩はとっても明るく生きています。
 マンガ大賞2008、平成20年度小学館漫画賞受賞。
【花】大雪山のお花畑
 大雪山は北海道を代表する名山。この写真は山で亡くなった友人の追悼文集を作ったときに送ってもらったものです(1981年頃)。後ろに見えているのはトムラウシ山。


 今回は少しまじめな話をします。
 山に登る動機、あるいは楽しみ方というものは人それぞれ。景色がきれいだから、高山植物が好きだから、ピークハントがしたいから(*2)。でも、山を楽しむ時に必ず考えて欲しいのが事故のリスクです。
 ”岳”に出てくる事故も、雪崩、滑落、道に迷って動けなくなったなどさまざまです。それは本人の努力や注意によって避けられたものもあれば、運が悪いとしか言いようのないものまでいろいろです。
 実際、私のクラブの友人だったTさんも、北海道の山で雪崩にあって亡くなりました。この人は世界で6番目の高峰チョ・オユー(標高8201m)にも登頂したベテランで、体力、技術も充分にあったにもかかわらずです。

 何もなければ山は美しく楽しいところですし、山好きな人間としては多くの人に山を愛して欲しいと思っています。でも、その大前提としてあるのは”家に無事に帰ってこそ”。今年(2009年7月)に北海道のトムラウシ山で9名の死傷者を出す事故がありました。原因や責任をうんぬんするのが趣旨ではありませんが、古くからの山屋として、このブログを読んでいる人が少しでも事故にあわないようにいくつかのアドバイスを。

ムリをしない、ムリな計画を立てない
 元アメリカ大統領ジミー・カーターの自伝に”なぜベストをつくさないのか(Why not the best?)”というのがありましたが、プロの登山家や冒険家でもないかぎりベストを尽くさないと登れないような山は、その人にとってレベルの高すぎる山ということ。何故なら、不測の事態のために余力を残しておかないと、いざという時ににっちもさっちも行かなくなります
 どうしても登りたいのなら1日の工程を短くするなど計画段階で考慮すべきと思います。

ムダになってもいいから装備はちゃんと持っていく
 私はどんな短い距離でも、雨具や水、食べ物、防寒具はもって行きます。”荷物になるのに”と奥様から言われますが、奥様の友人で元山岳クラブにいたご主人もそうらしいので、どうも山岳系のクラブ出身の人には共通の傾向なのかもしれません。
 山では何があるかわかりませんのでこれは鉄則です。

最後まで自分の足で歩く覚悟を持つこと
 大学時代の体力が一番あった時に40キロ以上の荷物を持って歩いたことはありますが、一般的な人間にはこれが担げる荷物のアッパーリミットに近い重量です。40キロとは小柄な女性の体重相当でしょうか。
 何が言いたいかというと”担いで下ろしてもらうことを期待してはいけない”ということです。”岳”の中では、三歩が要救護者を担いで下ろしたりしていますが、これは三歩が超人的な体力の持ち主だからできることであって、こんなことはそうそうできるものではありません。
 足の骨折とか状況によるので、必ず歩けとまでは言いませんが、少なくとも覚悟ぐらいは持つべきです。

天気予報は必ず見ること
 山登りにとって一番いやなのが雨。景色は見えないし体は濡れて寒いし。出発するのも迷うし。
 でも、この先天候が好転するのか、悪化するのかはとても重要です。①に通じますが天候が悪化しそうならムリをせずにあきらめることも必要です。そのためには天気予報は絶対見てください。私もクラブで天気図を書かされました(まあ、なかなか当たりませんでしたけどね)。これは必要最低限の情報です。
 お金と時間をかけて来ているので、ムリをしてでも登りたい気持ちも良くわかりますが、ムリは禁物。表題の”まあ、山は逃げないから~”は小学生のナオタ君の言葉ですがこれは至言です。”生きてりゃもう一回ぐらいやれるさ(*3)”ぐらいのふてぶてしさを持ちましょう。

 まあ、他にもいろいろあるんですが、もっと知りたい方は安全登山の本なんかを読んでみてください。

 脅しをかけるようなことをいっぱい書きましたが何もなければ山はとても素敵なところです。がんばったならがんばったなりの良いことがたくさんあります
 上の写真を見ていただければわかりますが、とても美しい風景がいっぱい広がっています。山で飲むコーヒーやビールはまた格別ですし、山で苦労をともにした友人はかけがいのないものです。

 ぜひ、事故のない楽しい山登りをお楽しみください。
 三歩の苦労はそのためにあるのですから。



《脚注》
(*1)最近メタボで山に登れていない
 ”メタボは最近か?”と奥様からツッコミがありそうです。
(*2)ピークハントがしたいから
 山頂に立つのを楽しみにしている人。高じると”日本百名山(深田久弥 新潮文庫)”の全山を登りにいったりします。北は北海道利尻岳、南は屋久島の宮之浦岳までとそれなりに体力と時間と財力が必要。
(*3)”生きてりゃもう一回ぐらいやれるさ
 機動警察パトレイバー”の敵キャラ、甲斐 冽輝の言葉。詳しくはこちらのブログをご参照ください。

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