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己(おの)が信用を失いし時に死したり(銀行の墓碑銘/徒花)

 ども、銀行向け営業担当のたいちろ~です。
 ここのところ、経済関連の本がないので(*1)久々にこの分野から”銀行の墓碑銘”のご紹介であります。文字どおり、バブル崩壊後に消滅した銀行の経緯を集めた本ですが、まさか銀行が潰れるなんて思っても見ませんでした、バブルが弾けるまでは

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写真はたいちろ~さんの撮影
徒花のひとつ、みょうがの花です





【本】銀行の墓碑銘(有森 隆 講談社)
 三和銀行、大和銀行といった現在メガバンクに集約された都銀から、解体された北海道拓殖銀行、清算された第二地銀まで、死屍累々の銀行のノンフィクション。
 各章のタイトルが”見せしめ”、”実験”、”言いなり”、”同族”、衰弱”、放縦”。言いえて妙ながら、なさけなくなります。
【家庭菜園】徒花(あだばな)
 咲いても実を結ばずに散る花。転じて、実(じつ)を伴わない物事のこと。
 ニンニク、ヒガンバナ、ミョウガ、ナガイモ、キンモクセイなど。


  銀行は眠る。数奇なる運命にも生きし銀行、
  己(おの)が信用を失いし時に死したり。
  さあそれもみな自然の数ぞ、
  昼去りて夜の来るがごとくに。


 ヴィクトル・ユーゴー風に書いてみましたが(*2)、これだけやってりゃ信用をなくして潰れるのもあたりまえやな~というのが正直な感想。

 かれこれ四半世紀ほど銀行相手の商売をやっておりまして、実はこの本に登場する銀行を担当したこともありました。何名か直接お会いしたこともありますし、別の銀行ですが個人的なつながりのある銀行もあります。
 銀行の方の名誉のために申し上げますが、私の知る限り銀行の大半はまじめに仕事をされております。まあ、商売上ではかなりきつい要求をされるケースもありますが・・・  でも私的な利益のために何かをされるような方は一人もいらっしゃいませんでした。

 それでも銀行という組織で見た時には行くとこまで行っちゃったんでしょうね、あのバブルの時代ていうのは。
 銀行というところは典型的な規制業種(*3)で、非常に”他の銀行は何をしているのか?”を気にされます。商売の上でも、他の銀行の事例とか実績が非常に重要になります。逆に言うと突出したことをやるのを非常にいやがります(*4)。でも、他の銀行がやっていることを”自分のところだけはやらない”という決断もしにくい体質ですね。

 まあ、そういう業種ですので、あの時代はみんな似たり寄ったりだったのかもしれません。潰れたかどうかは言ってみれば程度問題だったのかも。そういった意味では同情の余地がないわけではないですし、行政側の対応も決して完璧であったとは言いがたい(*5)ですが、それでもひどすぎるぞ、この本での事例は!
 むやみに不動産融資につっこんだり、査定をごまかすために先のない追加融資をしたり、ノンバンク経由で総量規制をすり抜けたり、ヤ○ザ屋さんにいいように利用されたり。
 リゾート開発につっこんだ北海道拓殖銀行、機関銀行化した国民銀行、一族内紛の末もはや犯罪ともいえる平和相互銀行などなど、よくもまあ、こんな無茶苦茶ができたものだと思います。

 徒花(あだばな)という言葉があります。これは咲いても実がならない花のこと。私が植えている中ではみょうががこれにあたります。写真を見ていただければわかりますがみょうがの花は地面から直接咲きます。この下のつぼみたいなのが普段そうめん等の薬味になる部分なんですが、花が咲くとこの部分がすかすかになってしまいます。

 バブルという徒花に翻弄された銀行もこれによく似ています。悪の花が咲いたことで、本来国民経済に利用されるべき部分がすかすかになって、実もならずに終わってしまう・・・ 先人達が戦後復興をへて育ててきた銀行をこんな形で潰してしまうのは忸怩たるものがあります。
 私自身は銀行救済に公的資金を導入することに必ずしも反対する立場ではありませんが、せっかくお金を使うのだから今度はちゃんと育って欲しいものだと願います。


 会社員として、かれこれ25年以上銀行と付き合ってきました。ちょうど金融の自由化からバブルの萌芽、成長、崩壊を経て失われた10年、そして再度の”100年に一度の金融危機”まで。
 最近は景気が上向いてきたとの報道もありますが、バブルのころも同じ様なことを言っていました。決して楽観できるような状況ではないと思っています。
 あれだけ高い授業料を払ったんですから、少しは学習効果を発揮しましょう。そういった意味では過去の失敗を冷静に考えるには良い本です。

 でも、あと10年先にこれと同じ本を読みたくはないものです


《脚注》
(*1)経済関連の本がないので
 別に読んでいないわけではないんですが、ネタになりにくいのでパスしてただけです。
(*2)ヴィクトル・ユーゴー風に書いてみましたが
 この詩はユーゴー作”レ・ミゼラブル”の最後に出てくるジャン・バルジャンの墓碑銘の引用です。(豊島 与志雄訳 岩波文庫)
 原文は
  彼は眠る。数奇なる運命にも生きし彼、
  己が天使を失いし時に死したり。
  さあそれもみな自然の数ぞ、
  昼去りて夜の来るがごとくに。
(*3)規制業種
 許認可権を握る大蔵省(当時)が金利から店舗の出店までを徹底して管理をしていた時代です。その見返りとして護送船団方式という”銀行は潰さない”政策がとられていました。
 今は昔の話です。
(*4)突出したことをやるのを非常にいやがります
 かつて、城南信金が日本で初めて”懸賞金付き定期預金”を発売した時、よってたかってバッシングしましたが、ヒット商品になるとあっというまにみんな類似商品を発売しました。1994年のことです。
(*5) 行政側の対応も決して完璧であったとは言いがたい
 人には平時をうまくこなすタイプと乱世に強いタイプがありますが、国家公務員の大半は典型的に前者のタイプ。そうでなければ公務員なんかになりゃしません。
 すいません、偏見です。

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