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オレは嘘がつけるほど頭良くないぞ!(さらば長き眠り/ナツツバキ)

 ども、”私は嘘は申しません(*1)”のたいちろ~です。
 さて今回のお題は、”嘘がばれたときの言い訳教えて”ですが、私は嘘は言わないので言い訳はしたことありません(まあ、これ自体が嘘との話もありますが・・・)
 真偽の程はともかく、嘘をつくとは相当頭の良い人でも早晩ばれるのは必定。前後でつじつまが合わなくなるとか記憶が間違ってくるとか。二股がばれた友人のNがこう申しておりました(*2)
 ま、究極の言い訳は”言い訳せずに笑ってごまかす”でしょうかね。

Photo
写真は”イートハーブ・花めっせーじ”より
ナツツバキ(夏椿)の花です



【本】さらば長き眠り(原尞 早川書房)
 私立探偵沢崎は、元高校野球選手の魚住から11年前八百長試合の誘いがあったのが発端で自殺した義姉の死の真相の調査を請け負う。
 この事件により”長い眠り”についていた女性たちの真実とは・・・
 日本のハードボイルド小説の傑作、”沢崎シリーズ”の第一期完結編。
【花】ナツツバキ(夏椿)
 ツバキ科ナツツバキ属の落葉高木。別名はシャラノキ(娑羅樹)。仏教の聖樹、娑羅双樹(さらそうじゅ)に擬せられて、この名がついたとのことですが、娑羅双樹は耐寒性が弱く、日本のお寺では植えられているのはナツツバキのほうだそうです。


 さて、嘘をつく人もいれば、それをあばく人もいるわけで、そんなお仕事の一つが私立偵。先日、”さよなら、愛しい人(*3)”を読んだこともあり、今回は日本のハードボイルドとして”さらば長き眠り”をご紹介します。

 主人公の私立探偵沢崎は、おそらく日本のハードボイルドとしてはレイモンド・チャンドラーの生み出したハードボイルド系探偵”フィリップ・マーロウ”の衣鉢を最も強く受け継いだキャラクターではないかと思っています。
 二人に共通するのはその卓越した毒舌。ハードボイルド系の主人公はえてしてタフガイとのイメージがありますが、その本質は自分の言葉を押し通すための裏づけとしての肉体。殴られようがなにしようが自分の意思を曲げないことこそ本質かと。

 このように、私立探偵沢崎も、言葉で相手を怒らせたりするエピソードには事欠きませんが、でもかっこいいんですよね、その言い回しが

  魚住:監督の奥さんや、慶子叔母さんにまで
     つらい思いをさせることになってしまった
  沢崎:きみのせいではないと言ってほしいのか
      (中略)
  魚住:でも、彼女たちにそういう苦痛や嘆きを与えたのは誰です?
  沢崎:彼女たちの夫だろう。
     少なくとも、きみじゃない。
     悪いが、きみには彼女たちに対してそんな影響力はないよ
                        (本書より抜粋)

 突き放したようでいて、依頼人に対するさりげない優しさが感じられます。
 ストーリーについてはネタバレなのであまり書きませんが、男のダンディズムあふれる名言、至言の数々。ぜひ使ってみたい台詞の数々ですが、たぶんホントに使うと人間関係がギクシャクするんだろ~な~。

 今回の花である”ナツツバキ(夏椿)”はある女性が長い眠りについていた場所に植えられていた木。本書内では唐突な扱われ方をしていますが、ナツツバキの別名が”シャラノキ(娑羅樹)”と仏教に出てくる娑羅双樹の代わりに植えられている樹とのことですので、本書の結末とあわせると、意外と奥の深い使い方なのかもしれません。本書の中ではまったくそんな説明はありませんが、語られないことの中にも意味の重みがあるのは流石です。
 写真でしか見たことありませんが、美しい花です。


 最後に、友人のNへ

  沢崎:彼女は父親たちの手の届かないところで、死にたいという想いと
     戯れていただけかも知れないが、そこへ自分たちの居場所を
     知らないはずの父親の手先のような男たちが駆けつけてきたんだ。
     伝統的で厳格な家風---
     彼女にとっては煩わしくて疎ましい家風から生きてきたつもりが、
     すべて父親の監視下にあったことを理解した瞬間に
     思い知らされたはずだ。
                        (本書より抜粋)

 浮気がばれた瞬間って、こんな感じでしたか?

 原尞による”沢崎シリーズ”はレイモンド・チャンドラーへのオマージュともいうべきシリーズ。この”さらば長き眠り”の題名にしても”さらば愛しき人よ”、”長いお別れ”、”大いなる眠り”(*4)を彷彿とさせる題名です。
 本書のほかにも”そして夜は甦る”、”私が殺した少女”、”天使たちの探偵”など名作が多数(ともに早川文庫)。”さらば長き眠り”は4作目ですが、ここから読んでもOKです。いずれ劣らぬ面白い作品ですので、ぜひご一読の程を。


《脚注》
(*1)私は嘘は申しません
 1960年代初期に総理大臣を勤めた池田勇人の名言。この人は”10年間で所得を倍増させる(所得倍増計画)”といって7年で達成させたことでも有名。
(*2)二股がばれた友人がこう申しておりました
 正確にいうと、こやつは四股かけておりました。ちなみにこの手の話は往々にして本人だったりしますが、本当に友人の話です。奥様。
(*3)さよなら、愛しい人
 レイモンド・チャンドラー作 村上春樹訳。私立探偵フィリップ・マーロウの登場するハードボイルドの傑作。詳しくはこちらのブログから
(*4)”さらば愛しき人よ”、”長いお別れ”、”大いなる眠り”
 ともにチャンドラー(早川文庫版他)。村上春樹訳での書名は”さよなら、愛しい人”、”ロング・グッドバイ ”ですが、表題の邦訳としては”さらば愛しき人よ”の方が気に入っています。

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