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名も知らぬ 遠き島より 流れ寄る 椰子の実一つ(終戦のローレライ/椰子)

 ども、ふるさとの岸を離れて単身赴任中のたいちろ~です。
 さて、今回のお題は”あなたが海で聴きたい曲は?”ですが、おそらく、このネタで最も暗い選曲”椰子の実(*1)”でしょうかね。
 夏の海といえば、TUBEにサザンに加山雄三にと、明るい曲が目白押しというになにゆえにこの曲かというと、私の住んでいる町の夕方にこの曲がかかるんですね。ちょうど”夕焼け小焼け”のノリです。

0164
写真はたいちろ~さんの撮影
神戸のハーバーランドにて




【本】終戦のローレライ(福井晴敏 講談社文庫他)
 ナチス・ドイツが開発した特殊兵器「ローレライシステム」をした潜水艦伊五〇七(*2)は、3発目の原爆投下を阻止すべく、単身アメリカ軍に挑む・・・
 2005年に香椎由宇(仮面ライダーの妻)主演により”ローレライ”の名で映画化。
【花】椰子の実
 英語ではココナッツ (coconut) 。果実は繊維質の厚い殻に包まれていて、中に大きな胚乳(お菓子なんかで使われる部分)があるのが特徴。
 ジャイアント馬場が得意としたプロレスのワザに”椰子の実割り(ココナッツクラッシュ)”というのがありましたが、本当にこれで割れるかどうかは不明。


  名も知らぬ 遠き島より
  流れ寄る 椰子の実一つ
  故郷(ふるさと)の岸を 離れて
  汝(なれ)はそも 波に幾月(いくつき)


 この曲の作詞は島崎藤村(*3)。椰子の実の漂泊の旅に自分が故郷を離れてさまよう憂いを重ねて読んだという詩です。(全詩はこちらから
 いや~、単身赴任のおとうさんとしては、心にしみる名曲です。

 で、今回の本ですが、この曲がモチーフのひとつになっているのが”終戦のローレライ”。軍事小説のヒットメーカ、福井晴敏が終戦をテーマに扱った作品です。
 テイストとしては、”沈黙の艦隊”に”機動戦士ガンダム”をぶち込んで”宇宙戦艦ヤマト”でかき回したような作品(*4)。ま、これだけ聞いて話の想像がつく人がいらたお化けでしょうから解説を少し。
 潜水艦に搭載された「ローレライシステム」とは、主人公、パウラ・A・エブナーの水を媒介とした感知能力を見える化するシステム。そのお兄さんが、元ナチス親衛隊士官のフリッツ・S・エブナー。ガンダムのシャア少佐とセイラさんを彷彿とさせるお二人。パウラの能力はララァっぽいし(*5)。
 このシステムをたよりに、アメリカ軍の艦隊に阻止する絶望的な戦いを挑むことになります。

 で、この物語の中でエブナーが歌うのが”椰子の実”の歌。

   思いやる 八重(やえ)の汐々(しおじお)
  いずれの日にか 国に帰らん


 索敵の切り札である「ローレライシステム」を切り離したあと、沈没していく艦の中で歌われるこの曲は感動的なシーンです。
 映画で使われているヘイリーの”モーツァルトの子守唄”も捨てがたいですが、音楽の使われ方としては、原作のほうが好きですね。

 ”終戦のローレライ”は文庫本4冊とけっこうなボリュームですが、一気に読めました。映画”ローレライ”の原作ということで、基本的な話の流れは同じですが話の広がりは原作のほうが上。映画でも2~3部作にしてもいいから原作のエピソードをもっと入れて欲しかったです。
 日本の叙情歌が小説でこれほどまでに上手く使われている例はなかなかありません。
 映画を見た方にも、そうでない方にもお勧めの一冊です。

 ところで私は、いずれの日にか 家族の元に帰ることができるでしょうか?


《脚注》
(*1)椰子の実
 上ではスタンダードなところで”夏川りみバージョン”にリンクしますが、ジャズ風の”姿月あさとバージョン”とか妙に明るい”矢野顕子バージョン”もあります。お好きなアレンジでお楽しみ下さい。
(*2)伊五〇七
 ”伊XX”は、大日本帝国海軍の潜水艦につくナンバー。
 ちなみに、東宝の特撮映画の傑作”海底軍艦”に 登場するスーパーメカ”轟天号(ごうてんごう)”の番号は”伊403”。”ドリルは男のロマンだ!”の原点のひとつ。
(*3)島崎藤村
  詩集”若菜集”、小説”夜明け前”などで知られる詩人、小説家。”若菜集”に収録された”初恋”は高校時代にどきどきしながら読みました。
(*4)”沈黙の艦隊”に”機動戦士ガンダム”をぶち込んで~
 ”沈黙の艦隊”はかわぐちかいじによる潜水艦マンガの傑作、”機動戦士ガンダム”はニュータイプ(一種の超能力者)による戦いを描いたロボットアニメの金字塔、”宇宙戦艦ヤマト”は松本零士原作のSFアニメの名作。完結編で沖田艦長とともに自沈。
(*5)ガンダムのシャア少佐とセイラさんを彷彿とさせるお二人
 そういえば、福井晴敏は、”∀(ターンエー)ガンダム”のノベライゼーション”月に繭 地には果実”とか書いてるし。アニメは見ていませんが、ノベライゼーションはけっこう面白かったです。

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コメント

はじめまして。私もこの曲好きです。
エンディングのところのメロディがわからなくて
勝手に作曲して歌ってた記憶があります。

夏川さんすごく上手いですよね。
一度だけライブに行ったことがあるのですけど
踊りながら歌っても全然歌がぶれないのですよ。

しかも、休憩も一切なしで水もほとんど飲まず、
2時間ぶっ通しで歌って
最後までしっかりクオリティを保たれてました。

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