荒野に女子あり、十九にして心すでに朽ちたり、たから白銀色に染めちゃった(ファミリーポートレイト/姫林檎)
ども、最近白髪(しらが)の増えたたいちろ~です。
さて、今回ご紹介するのは桜庭一樹の”ファミリーポートレイト”です。いや~やっと読めました。元来図書館派の私なので、半年待ちですよ!
話題作がリアルタイムで読めないのはつらいですが、がんばっていきまっしょい!
写真はたいちろ~さんの撮影
近所の園芸店にあった姫林檎です
まだ青いですがこの大きさでも、ちゃんと実がなってます
【本】ファミリーポートレイト(桜庭一樹 講談社)
ママのマコと娘のコマコ。第一部は二人の逃避行、第二部は大都会という荒野を流離うコマコの物語。文壇バーでお話を創るコマコ、文学賞を受賞するコマコがなんとなく桜庭一樹と二重写しになります。
【花】姫林檎(ひめりんご)
別名”犬林檎”。見たことはありませんが白い花が咲くそうです。調べてみると実は元々鑑賞用で”最近は食べられるものもある”とのこと。花言葉は”名声、誘惑”。
物語は5歳のコマコが母親のマコとコーエー(公営住宅)から逃げ出して、いろんな場所に移り住むところから始まります。城砦のような町の病院の診察室、若い女性死んだ時、女性の代わりに初夜を迎える儀式をする港町、養豚場の町など。
母親と死に別れて、実父に引き取られて女子高生になったコマコは姫林檎のような同じ学校の女子生徒とレズビアンの関係になったりします。
コマコは見分けがつかない同じようなといった意味で女子高生の恋人のことを”姫林檎”といっていますが、姫林檎は小さい姿ながら、ちゃんと成熟していて、しかも観賞用の品種といったところはイマドキの女子高生とよく似ているのかも。
だから、女子校生をつまみ食いしちゃいけないんですってば!(*1)。
卒業したあと文壇バーでアルバイトをしますが、その時の髪の毛が”面白いから”という理由で白銀色にそめたりしています。表題の”十九にして心すでに朽ちたり”のオリジナルは中国中唐期の漢詩人李賀(りが)の詩”陳商に贈る”より。
長安有男兒 長安に男児有り
二十心已朽 二十にして心已(すで)に朽ちたり
(中略)
何必須白首 何ぞ必ずしも白首(=しらがあたま)を須(ま)たん
解説は”枕草子-まくらのそうし”のホームページに詳しく載っていますが(*2)、母親を亡くして虚無的になっているコマコとこの詩がなんとなく重なったので、この詩を表題にしました。
この後、失踪したり、文学賞をとったり、結婚したりしていますが、物語はコマコが母親のマコから自立する物語であるとも言えます。
印象的だったのセリフですが
作家とはある種の、自覚的な多重人格者のことだ。
(中略)
生きる痛みが、物語を必要とする人間・・・
つまりは作家と読者を生むのだ。
つまりブログを書いている自分というのは
読者としての自分
ブロガーとしてブログを書く自分
オタクな文章を書く自分
古典文学に耽溺する自分
の重合体なのかもしれません。
結論:ブロガーとは救われない人種である・・・
”ファミリーポートレイト”は最近脂ののっている桜庭一樹の最新作(*3)。読んで損のない一冊です。
《脚注》
(*1)女子校生をつまみ食いしちゃいけないんですってば!
もちろん、私はそんなお行儀の悪いことはしてません。なんせ、娘が高校生なもので。
(*2)解説は”枕草子-まくらのそうし”~
この詩をインターネットで調べると、やたらと”アストロ球団”が出てくるんですね。そりゃ掲載されてたのは知ってましたけど・・・
”アストロ球団”は、原作 遠崎史朗、作画 中島徳博による空前絶後の格闘技系プロ野球漫画。1972年に週刊少年ジャンプに掲載(私が中学の頃ですよ!)
こちらの引用は
花の都に男子あり 二十にしてはや心朽ちたり
すでにして道ふさがる 何ぞ白髪を待たん
(*3)最近脂ののっている桜庭一樹の最新作
別に桜庭一樹さんが太ったという意味ではありません。念のため。
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