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そうか薫くん、死んじゃったんだ・・・(ぼくらの時代/桜草)

 ども、いつまでも(気持ちだけは)若いたいちろ~です。
 2009年5月26日、作家の栗本薫さん(中島梓)が膵臓癌のため死去されました。 今回のお題は”追悼 栗本薫”ということで、”ぼくらの時代”をご紹介します。

Sakuso2
写真は桜草
季節の花 300”のホームページより






【本】ぼくらの時代(栗本薫 講談社)
 ぼく栗本薫、22歳、みずがめ座。某マンモス私大の3年生--バイト先のKTV局内で発生した女子高校生連続殺人事件をロック・バンド仲間の信とヤスヒコで解決しようとするんだけど・・・(講談社文庫 旧版の背表紙より)
【花】桜草(さくらそう)
 春先に咲くサクラソウ科の多年草。桜の花に似ていますが、桜とはまったく別物で、春先に咲く花ぐらいの意味だそうです。


 ”ぼくらの時代”は1978年に第24回江戸川乱歩賞を受賞。講談社文庫で読んだので、たぶん1980年代の前半ぐらい。ちょうど私も大学生だったはずです。当時は、小峰元(*1)とか、青春推理小説をよく読んでましたので、その一連でこれも読みました。

 小説の登場人物の”栗本薫”は男性でロックバンド”ポーの一族(*2)”のメンバーで長髪の二枚目。仲間の信はぼうぼうの長髪に山羊ひげ、ヤスヒコはアフロ・パーマ。
 髪の毛の話で、刑事の長さんと口論になっています。

 長さん:ましてロックだか何だか、気狂いみたいなものにうつつを抜かしている
     フーテンどもですからね。
     (中略)
     女みたいになよなよしやがってさ。
     あたしが総理大臣なら、ひとり残らずとっ捕まえて
     アタマ、たたっきって、軍隊にぶちこんでやるところなンだが
 信  :アタマの長さで、人間の値打ちが決まるんなら、
     昔の武士はみんなヤクザョ。
     ロックやるのが不良なら、
     ベートーベンだって、モーツァルトだって、
     生きてた当時は流行歌の作曲者だったのョ。(本書より)

 この小説の底流にあるのは、世代の違いによる生き方、感じ方の違い
 象徴的なのがTV局のディレクターの原田氏、40歳。発表年度とあわせると、38年ごろの生まれになりますので、おそらく戦後教育の第一世代かと。

 原田氏:しかし、ぼくはぼくの兄貴やおやじの世代のように、
     あたまっから、
     あんな頭しやがってと頑として否定もできない。
     するだけのせぼねができあがるまえに、
     何もかも変わっちまったからね
(本書より)

 実在の栗本薫は、1953年生まれと私より6歳年長、小説の栗本薫は私より2歳年長ですので、ほぼ同じ世代。
 世代で見ると長さんが戦前、原田氏が戦後第一世代の代表でしょうか。浅間山荘事件(*3)を学生運動の終焉と見ると、実在の栗本薫が学生運動の最後の世代、小説の栗本薫や私は学生運動に遅れた世代になります。
 
 語るべきバックボーンを持たない世代というのは幸せなのかもしれませんが、背骨のない世代であるのも確か。決して”俺達の若いころはお国のために鉄砲担いで~”とか、”ヘルメットにゲバ棒で機動隊とケンカして~”なんていう自慢話(?)を聞きたいわけではないんですけどね。

 もし、小説の栗本薫が実在の人物なら、現在は50歳すぎのはず。やっぱり”近ごろの若いモンは”とかいってるんでしょうか? 生きていれば、実在の栗本薫に書いて欲しかったような気もします。”おっさんの時代”とか。

 話は飛びますが、花言葉をいろいろ見てますと”桜草”の花言葉に”若い時代と悲しみ”というのがありました。そういえば、花屋さんでは春の早いときに売ってましたね。いろんなところにいっぱい咲いていたのに、写真、撮り損ねてました。
 栗本薫も江戸川乱歩賞の受賞者としては当時最年少で、本もいっぱいでています(*4)。ちょと似てるかなと思うと嬉しいです。でも、読み損ねているのが多いのもちょっと残念。
 読み損ねたといえば、”日本のまるペ(*5)”と言われた”グイン・サーガ(*6)”はどうなるんでしょうか? いつでも読めると思っているうちに結局、読まないままになっていました。今後はまだ未定とのことですが(YAHOOニュースより)、日本沈没の例もあるので(*7)、書いて欲しいような、欲しくないような・・・

 久しぶりに”ぼくらの時代”を読み直しましたが、30年前に自分達が言われていたこと、言っていたことが、今では立場が逆転して同じことを言ってるんですね。
 おぢさん世代としては、若い人にお勧めしてよいものやら・・・

 文末にはなりますが、謹んで、栗本薫さんのご冥福をお祈り申し上げます。


《脚注》
(*1)小峰元(こみねはじめ)
 1973年に”アルキメデスは手を汚さない”で第十九回江戸川乱歩賞を受賞。
 アルキメデス、ピタゴラス、ソクラテスなど、歴史上の哲学者などの名前を表題にした推理小説を多数発表しました。”アルキメデス~”意外はほとんど絶版とのこと(Wikipediaより)ですが、もったいない話です。
(*2)ポーの一族
 吸血鬼のエドガ、アラン、メリーベルを主人公とした萩尾望都の漫画。作中にも殺された女子高生を加えてバンド名を”メリーベルとポーの一族”にしようという話がでてきます。
 こういった、マンガネタがさらっと入っているところもけっこう受けてました。
(*3)浅間山荘事件
 1972年2月、河合楽器の保養所”浅間山荘”に連合赤軍がたてこもった事件。学生運動が大衆から離反した決定的なできごとでした。
 余談ですが、この事件当時の警察庁長官が後に副総理となる後藤田正晴、警備実施及び広報担当幕僚長が後に作家、初代内閣安全保障室長となる佐々淳行(さっさ あつゆき)です。
(*4)本もいっぱいでています
 約30年間に、新刊だけで約400冊の作品を出されたそうです(Wikipediaより)
(*5)日本のまるペ
 世界最長の小説”宇宙英雄ペリー・ローダン”シリーズのこと。2009年5月10日現在で、ハヤカワ文庫から360巻出版されています。
 高校の時、誕生日に1巻と10巻と20巻をプレゼントされたことがありますが、はっきりいってこれはイジメです。
(*6)グイン・サーガ
 栗本薫による、豹頭の戦士であるグインを主人公としたヒロイック・ファンタジーの大河小説。2009年6月現在、ハヤカワ文庫から正伝が126巻、外伝が21巻出版されています。ギネス非公認ながら、一人の作家の書いた世界最長の小説。
(*7)日本沈没の例もあるので
 小説の”日本沈没(第一部)”は小松 左京のベストセラーですが、第二部は谷 甲州が執筆。もっとも、小松左京はご存命です。
 余談ですが”日本以外全部沈没”は、筒井 康隆の小説です。

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