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チューリップでバブルを連想するようになったはの何時からだろう(ソロスは警告する/おやゆびひめ/チューリップ)

【本】ソロスは警告する (ジョージ・ソロス 講談社)
 伝説の投資家、ジョージ・ソロスの書。副題は”超バブル崩壊=悪夢のシナリオ”。サブプライム問題の初期の段階で今日の状況を予期しているのはさすがです。
【本】おやゆびひめ(アンデルセン)
 花から生まれた親指ほどの小さい女の子が、苦労の末に幸せになるという、代表的な童話。下のアフリエイトの本は、立原 えりか、いわさき ちひろ版です。
【花】チューリップ
 春を代表する花。幼稚園時代には一度は描いたことがあるはず。花言葉は”華美”、”恋の告白”など。オランダのイメージが強いですが(オランダの国花です)、原産地はトルコなど中近東だそうです。

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写真は、たいちろ~さんの撮影。
近所の公園にて。



 確か”悪魔の逆三角形”(*1)といった呼び方だったかと思いますが、下記のような詐欺の手口があります
 ある人数を2グループに別けて、半分の人に”一週間後にA社の株が上がる”、残りの半分に”株が下がる”というメールを出します。一週間後に、当たったほうのグループに同じことを繰り返して行きます。そうするとある期間”必ず当たる預言者”を生み出すことができます。A社の株は、市場で変動するものであれば、日経平均だろうが、為替相場だろうがなんでもかまいません。そこで”ある人数”が最後の一人になるまで何週間ぐらいかを近似させると、下のようになります(*2)。
  1000名程度のe-Mailを持つ素人: 10週間(        1,024名)
  証券アナリスト会員数 約2.3万人: 14週間(      16,384名)
  MIXI会員数   約1630万人: 24週間(16,777,216名)
 別に証券アナリストやMIXIがこんなことをやるとは言っていません。ただ、預言者というのはその気になれば人為的に作り出すことが可能であると言っているだけです。現在では、e-Mailアドレスさえ入手できれば、メールを出す限界コストはゼロに近いので、コスト的には実現可能かもしれません(*3)。

 ところで、予言めいたものを、世界に冠たるファンド・マネージャー、ジョジ・ソロスが言っているとなると話は違ってきます。で、今回の本は”ソロスは警告する”です。

 ジョジ・ソロスはクォンタム・ファンド(*4)の創設者にして、世界有数のお金持ちですが、この本の主張はお金儲けではなく、「再帰性」を中心とした哲学の本に近いです。

 「再帰性」を簡単に説明すると”固定した現実のありようがあって観察する人の理解が得られる(認知機能)ことと、観察する人の理解が現実社会に影響を及ぼす(操作機能)ことが双方向に影響しあうことで、理解・操作のいずれも確たる結果を生み出せなくなる”というもの。 

 ”需要と供給の一致するところで、価格が決まる”(*5)ということを社会の時間に教えてくれましたが、覚えていますか? 経済学の基礎ですが、実は”需要や供給と価格の関係を全員が正しく知っている”、”需要と供給は相互に関係なく決まる”と、現実社会ではけっこうムリめな前提に立っています。
 「再帰性」によると、人は不完全な知識しかない状態で、相互に干渉しあうので、価格は一意には決まらなくなります。ほかの人ならともかく、大物ファンドマネージャーがこんなことを言い出すのは(*6)意外以外のなにものでもありません。

 ご興味のあるかたは本書を読んでください。もっとちゃんと説明しています。
 後半は、今後の経済動向の見通しを述べていますが、私としては、前半の「再帰性」の部分のほうが面白かったです。

 「再帰性」に興味のある方、今後の世界経済を心配している方にはお勧め。
 ただし、この本を読んで、投資で一儲けしたいのであれば、それは自己責任です。

 ところで、チューリップと言われて、バブルを連想するようになったのは(*7)、いつごろからでしょうか
 子供のころは、おやゆびひめ(*8)だったのに・・・
 大人になるということは、知りたくもないことを知ってしまう道程なのかもしれません。

【重要なお願い】詐欺の手口について
 私自身は”詐欺の被害にあわないためには、詐欺の手口を知ることも重要”と考えているので、あえて書きましたが、絶対に実行しないでください。
 また、個人情報の流出は上記のようなリスクを含んでいることを充分ご認識ください。重ねてお願いするものです。


《脚注》
(*1)悪魔の逆三角形
 ”ラシャーヌ”か、”パタリロ”(魔夜峰央 白泉社文庫)だったと思いますが、手元に本がないので確認できませんでした。
(*2)何週間ぐらいあるかを近似させると~
  2の乗数ですので、手元の電卓で計算できます。
 等比級数的に増えるので、27週目で1.3億人と日本の人口を、33週目で86億人と世界の人口を超えます。まあ、変動なしというケースもありますが、単純化のために”上がる”、”下がる”の2パターンで計算しています。
(*3)限界コストはゼロに近いので~
 限界コストとは、1件増えるたびに増加するコストのこと。同じことをはがき(1枚50円)で計算すると1000名で約5万円、1680万人だと、約8.4億円かかります。
(*4)クォンタム・ファンド
 1970年の設立。ファンドは10年間で3,365%のリターンを出したそうです。1979年度の日経平均株価(6569.47円)からバブルピークの1989年12月29日(最高値 38,957.44円)の10年でさえ593%ですので、いかにすさまじいパフォーマンスかがわかります。
(*5)需要と供給の一致するところで
 価格が上がるほど手に入りにくくなる”需要曲線”と、価格が上がるほど供給が増える”供給曲線”の交わるところがモノの価格(均衡価格)です。レアもののアイテムに、ヤフオクで高い価格がつくと考えていただければよろしいかと。
(*6)大物ファンドマネージャーが~
 ファンドでは、適正価格からの乖離を分析して利益を得ています。代表的なものがブラックーショールズ方程式による適正価格(オプション・プレミアム)の計算です。Wikipediaに式が掲載されていますが、素人が理解できるしろものではありません。
(*7)バブルを連想するようになったのは~
 オランダで起こったチューリップ・バブルのこと。オスマン・トルコから輸入されたチューリップの球根に異常な高値がついて、その後、大暴落しました。バブルを扱っている本には必ず出てくる事例です。400年近く前のことですが、人間のやるこた、あまり変わっていません
(*8)おやゆびひめ
  このブログを書くにあたり、図書館の絵本コーナーで確認したところ、イラストは確かにチューリップの花ですが、意外なことに魔法使いのおばあさんがくれた花の種は”オオムギ”になっています。

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コメント

チューリップ、日本では富山県砺波市のチューリップフェアが有名ですね。今年は4/23(木)~5/6(水)の予定でチューリップ公園を中心に開催されますが、周辺のチューリップ畑の花は球根のために早い時期に刈り取られるため、期間前半の早い時期に行くとまだ刈り取る前の一面のチューリップが見られます。ゴールデンウィーク前で行きづらいでしょうけど、絶対お勧め!

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