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ハードカバーの皮をかぶった美少女文庫(先輩と私/百合)

【本】先輩と私 (森奈津子 徳間書店)
 主人公の光枝さんは、官能小説を書いては妄想に浸る女子大生。オナニストの阿真理先輩とレズビアンの華代先輩たちを交えたエロエロ小説。Amazonでは”爆笑スラップスティック・レズビアンコメディ長篇”となっていますが、犯罪だぞ、これ!
【花】百合(ゆり)
 花言葉は「威厳」、「純潔」、「無垢」。聖母マリアの象徴(マドンナ・リリー)だそうです。日本では、球根を”百合根”として茶碗蒸しに入れて食します。ちなみに、”じゃりん子チエ”(*1)に登場するお好み焼き屋のおっちゃんは百合根さん。

20090301
写真は”カサブランカ(百合)”

近所のホームセンターで、たいちろ~さん撮影。


 現在、深夜の3時です。森奈津子の”先輩と私”を了読しました。なぜ、こんな時間に読んでいるかというと、本日、図書館に返却さばならないからです。私自身は”通勤電車=書斎”派なのですが、いや~、この本は10ページで挫折しました。
 ハードカバー(正確にはソフトカバー)だし、表紙はラノベほどは萌え系でもなかったので、油断してました。まあ、森奈津子ですし、多少はえっちぃ話とは思っていましたが、仮にも公立図書館で貸している本ですからまあ大丈夫だとは思っていましたが、甘かったです。
 これではまるで美少女文庫(*2)ではありませんか!

 ということで、今回は本の内容というより”本と表紙”がお題であります。

 このブログを書くにあたり、本を調べることが多いのですが、意外に情報が少ないのが本の装幀(装丁 そうてい)の情報。以前、”ロミオとジュリエット”のお題で書いたときは、装幀担当の金子國義(*3)の情報はなんとか見つかりましたが、角川文庫版渡辺淳一の表紙(村上芳正が担当(*4))は結局、BookOffまで本を調べに行ってやっと確認できました。

 確かに、出版社が違えば表紙も変わりますし(*5)、時代によっても変わる(*6)ことがあるのでしょう。でも、昨今のライトノベルのように、イラストで売上げが変わる例もあるので、もっと大切にしてもよいのではないかと思います。本読みとしては、”あの表紙の本”で覚えているケースも多いんですよ。

 最近では、いとうのいぢ(*7)、竹岡美穂(*8)のように、文庫本の表紙/イラストの画集がけっこう売れていたりしてます。ラノベ系ではアニメ化を意識したような表紙も多く、ビジュアルという意味ではメディアミックス戦略には合っているのでしょう。出版不況の昨今、成長著しい分野ではあります。

 特徴的な作家と表紙担当の例をあげると
高橋弥七郎
 一貫してラノベ系。”灼眼のシャナ”はイラストレーターのいとうのいじが担当。
桜庭一樹
 ラノベ作家時代は、”GOSICKシリーズ”の武田 日向(マンガ家)のようにかわうい系イラストでしたが、直木賞作家になってからは文学系に。”荒野の恋”(ファミ通文庫 イラストはミギー)では、第3部を加筆して”荒野”(文藝春秋)で出版した時点で、ラノベ色はまったく消えちゃっています。
有川浩
 ラノベ作家ですが、1冊目の”塩の街” (電撃文庫)を除くとラノベ系の表紙は皆無。出版もハードカバーがメイン。”図書館戦争シリーズ”にいたっては、登場人物紹介のイラストページはあるものの、顔は描かれていないという徹底ぶり。イラスト担当は徒花スクモ。

 近頃は、イラストとコミック化の作家ですら別れている例まででてきています。
 上記の”灼眼のシャナ”では、コミック化を笹倉 綾人が担当。”図書館戦争シリーズ”では、アニメ化にあたり、キャラクター原案が上記の徒花スクモ、キャラクターデザインを作画監督の中村悟が担当。コミック化は、”LaLa”(白泉社)、で弓きいろが、、”コミック電撃大王”(アスキー・メディアワークス)ではふる鳥弥生が別々に担当と、以前では考えられないようなことまで起こっています。

 この、作家と表紙担当の関係でもっとも先進的なのが、上記の美少女文庫や、2次元ドリーム文庫(*9)。 背表紙に作家とイラストレータの名前が併記されています。まあ、えっちぃ系はイメージが重要なのでわからんでもないですが、ここまで来ると作家より表紙担当のほうが有名だったりする例もあります(*10)。

 ”先輩と私”は、読むんでしたら、おうちでどうぞ。カバーさえかければイラストはほとんどないので、電車の中で読めないことはないですが(*11)、変に興奮して、チカンの疑いをかけられるのは得策ではありません。

 えっ、百合の話はどこにいったって? ”先輩と私”は百合(*12)のお話です


《脚注》
(*1)じゃりん子チエ(はるき悦巳 双葉社)
 大阪を舞台にした”ウチは日本一、不幸な少女”チエちゃんが主人公のコミック。1981年に、吉本オールスターで映画化。チエちゃん役の中山千夏とテツ(父親)の西川のりおのははまり役です。監督はスタジオ・ジブリの高畑勲。
(*2)美少女文庫
  官能小説の老舗、フランス書院が発売している文庫本レーベル。Wikipediaでは”ジュブナイルポルノ”という記載になっていますが、ライトノベルのえっちぃ版といったほうが合ってます。若くてかわうい女の子が表紙(主人公)なのが特徴。
 すいません、デキゴコロで読んでしまいました。
 だから、引かないでください・・
(*3)金子國義
 画家。退廃感のある画風が特徴。0嬢の物語(レアージュ 河出書房新社)、富士見ロマン文庫、家畜人ヤプー(沼正三 幻冬舎アウトロー文庫)など、官能小説の表紙を担当。こちらのHPで見る事ができます。
(*4)村上芳正
 渡辺淳一、原田康子の初期の角川文庫版表紙などを担当。繊細な線が北海道文学のイメージによくマッチしていて好きでした。この人も「家畜人ヤプー」の装画を書いているそうです。
(*5)出版社が違えば表紙も変わりますし
 出版社単位では装丁を合わせていることが多いですが、例外として、椎名誠+沢野ひとしのように、出版社が変わっても組合しが同じという例もあります。
(*6)時代によっても変わる
 メディアミックス戦略の雄、角川春樹は、映画の発表にあわせて、表紙を映画のシーンに変えてました。さすがに裏表紙にCMを載せるのは不評だったらしく、ほどなくやめています。
(*7)いとうのいぢ
 ”灼眼のシャナ”(高橋弥七郎 メディアワークス)、”涼宮ハルヒシリーズ”(谷川流 角川スニーカー文庫)の表紙、イラストを担当
(*8)竹岡美穂
 ”文学少女シリーズ”(野村美月 ファミ通文庫)の表紙、イラストを担当。
(*9)2次元ドリーム文庫
 キルタイムコミュニケーションが発売している文庫本レーベル。美少女文庫に比べてファンタジー系のHノベルが多いように思われます。
 だから、引かないでってば・・・
(*10)作家より表紙担当のほうが有名~
 マニアックな業界なので、なにを持って有名をするかはご意見はあるでしょうが、出版件数を見ているとイラスト担当に固定ファンがいるのではないかと。
(*11)電車の中で読めないことはないですが
 かねがね不思議に思っているんですか、駅のキヨスクに置いてあるフランス書院文庫(大人が主人公の官能小説)って、売れてるんでしょうか?
(*12)百合
 女性同士の同性愛、いわゆる 「レズ」の隠語。対をなすのが「ホモ/ゲイ」の隠語の「薔薇」。「ホモ」と「ボーイズラヴ(BL)」の関係は、もはや神学論争です。


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