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チョコレートをください!(エコノミストたちの栄光と挫折/大脱走/カカオ)

【本】エコノミストたちの栄光と挫折(竹内宏 東洋経済新聞社)
 副題は”路地裏の経済学 最終章”。長銀エコノミストの竹内宏が、戦後のエコノミストの仕事の歴史を振り返りながら、その時代でのエコノミストの仕事と経済を詳しく説明。
【DVD】大脱走(The Great Escape)(出演: スティーブ・マックィーン 監督: ジョン・スタージェス)
 第二次大戦下、脱走不可能といわれた捕虜収容所から250人の集団脱走を企てる、脱走のプロたち。スティーブ・マックィーン、チャールズ・ブロンソン、ジェームス・コバーンといった大スターてんこ盛りの戦争映画の名作。”大脱走のテーマ”は今でも、サントリーのコマーシャルで使われています。
【花】カカオ
 チョコレートの材料となる中央アメリカから南アメリカの熱帯地域を原産とする常緑樹。日本でも熱帯植物園などで見ることはできるようですが、産業レベルでの栽培はほぼゼロ。

Kakaonokinomi Cacaofl 01_0812_02 左の2枚は、”川崎市農業技術支援センター”のホームページより


 右の1枚は、ロッテガーナミルクチョコ(*1)(ロッテのホームページより)


 2月のメインイベントといえば、バレンタインデー。虚礼廃止のおり、”どうせ、くれるのは奥様と娘だけさ・・・”といじけながらも(*2)、時節柄、今回はチョコレートの話。

 ”チョコレートをください!(*3)”を英語で言うと”Give me Chocolate!”ということで、戦争とチョコレートがお題です。

 日本チョコレート・ココア協会のホームページに掲載の統計情報によると(*4)、カカオの生産地とチョコレートの生産地(消費地)は、ほとんど一致しません。それぞれベスト5を並べると

 カカオの生産地
  コートジボアール、ガーナ、インドネシア、カメルーン、ナイジェリア
 チョコレートの生産地
  アメリカ、ドイツ、イギリス、ブラジル、フランス
 チョコレートの消費地
  アメリカ、ドイツ、イギリス、フランス、ブラジル

 このホームページのデータで、カカオ生産とチョコレート生産の両方に名前が出ているのは、ブラジルだけ。カカオ生産量は、コートジボアールが全世界の40%弱、アフリカ諸国で約70%を生産しています。一方、生産量は、19の掲載国の内、ブラジル、日本、オーストラリア以外はすべて欧米諸国です。つまり、チョコレートは典型的な国際垂直分業の製品と言えます。

 ”エコノミストたちの栄光と挫折”の中に

   占領軍のチョコレートは、この世のものとは思えないうまさだった。
   若いエコノミストにとって、仕事の目的ははっきりしていた。
   まず、国民を飢えから救うことであり(中略)、豊かな社会を築くことだ。

 という一節があります。
 日本でも、明治32年(1899年)に森永商店(現森永製菓)が製造を開始、昭和になると大衆化したようですが、昭和15年(1940年)にカカオ豆の輸入がストップして生産ができなくなっています(*5)。

 つまり、”戦争”という貿易が機能不全に陥る状況下では、チョコレートは生産できなくなるということ。逆にいうと、アメリカは戦時下でもアフリカ諸国と貿易を維持できる国力を有していたということです。

 この状況は、戦時下でのドイツでも同じようで、”大脱走”の映画の中で、おまぬけな看守をオランダ製チョコレートで懐柔しようとするシーンが出てきます。”所長に報告する!”といいながら、最後までチョコレートを離そうとしないころを見ると、やはり貴重品だったのかも。

 余談になりますが、”大脱走”で有名なのは、マックィーンがバイクで疾走するシーンですが、私にとって面白かったのは、みごとなチームワークでトンネルを掘る所。エコノミストっぽく言うと”プロジェクト・マネジネント”の好例です。
 政治と外交を司る指導者の下で、実戦部隊のカリスマリーダー、トンネル王、情報屋、調達屋、偽造屋、製造屋といった通称を持つスペシャリストたちが連携しトンネルを掘っているさまは、仕事がなかなか進まない会社の人としては、憧れの目で見てしまいます。

 ”エコノミストたちの栄光と挫折”はエコノミスト史ですが、読後間としては、経済史と社会史の中間ぐらいの位置づけ。それぞれの時代を反映した調査(*6)をしているのが面白いです。
 ”大脱走”は今さら言うまでもない名画。仕事が行き詰った時に見れば、いっそうやる気が沸いてきます。

 で、今回の結論

 「マクロ的に言うと(*7)、バレンタインにチョコレートが欲しければ戦争をしてはいけない」


《脚注》
(*1)ロッテガーナミルクチョコ
 昭和39年(1964年 東京オリンピック、東海道新幹線開業の年)に発売されたロングセラー。ロゴの右上にカカオの実が描いてあります。
 コマーシャルは長澤まさみと榮倉奈々。長澤まさみからもらったバレンタインチョコなんて、もったいなくて食べられません!
(*2)どうせ、くれるのは~
 それとてあぶない今日このごろです。
(*3)チョコレートをください!
 別に、チョコレートが欲しくて、今回のブログを書いているわけではありません。でもちょっと欲しいけど・・・
(*4)統計情報によると
 カカオの生産量は国際ココア機関、チョコレートの生産量、消費量は国際菓子協会/欧州製菓協会の統計データです(ともに2004年)。戦時下での統計はわかりませんが、植生は変わらないので、生産についてはほぼ同じ傾向と推定されます。
 ちなみに、日本は生産量で世界7位、消費量で6位。年間消費金額のうち、約12%(530億円)がバレンタイン需要だそうです。逆チョコで増えるかな?
(*5)日本でも~
 日本チョコレート・ココア協会のホームページの記載より
(*6)それぞれの時代を反映した調査
 一例を挙げると、1986年の県別の歴史と産業の関係調査。
 製造業を伸ばすには、長期的な視点に立って文化・教育投資が必要。逆に幕府の直轄地でサラリーマン大名が統轄し、顔が江戸ばかりに向いている藩では大企業が育たなかったそうです。藩を部に置き換えて、今の会社の状況を見ると(以下、自主規制・・)
(*7)マクロ的言うと
 で、このブログをお読みのあなたがもらえるかっつ~と、それは別の話です。これを”合成の誤謬(ごびゅう)”(*8)と言います。(ウソです)
(*8)合成の誤謬(Fallacy of composition)
 ミクロ(個人)にあてはまることが、マクロ(社会全体)にもあてはまるとは限らない。代表的なのは、個人が節約して貯蓄を増すと、社会全体の貯蓄が減ってしまう”節約のパラドックス(Paradox of thrift)”。

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コメント

大脱走ですか。私は人とはちょっと変わっていて、リチャード・アッテンボロー演じるところのバートレット中隊長・通称ビッグXが好きですね。私くらいの世代(49歳)だとアニメのビッグXの方が有名ですけど、私は断然こっち!!和が人生の中で100回以上観てるかな?大脱走大好き!!!

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