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すこしの孤独は、ここちよいのだ(荒野/北鎌倉のうさまん)

【本】荒野(桜庭一樹 文藝春秋)
 日本人形みたいな女の子、山野内荒野(こうや)の中学生から高校生までを描いた恋愛小説。ブンガク作品っぽくしていますが、前半はファミ通文庫(*1)で発刊されたりっぱなライトノベルです。
【旅行】北鎌倉のうさまん
 茶寮”風花(KAZAHANA)”のメニューにあるウサギの形をしたお饅頭。ふかふか、あつあつの皮に包まれた白あんが美味。お饅頭というより上品な点心といった感じです。アイスコーヒーとセットで800円。お店は、JR北鎌倉から”あじさい寺”として有名な明月院へ行く道の途中にあります。(グルメWalkerでの紹介HP

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写真は、たいちろ~さんの撮影。左から鎌倉小町通り、うさまん、風花の看板。

 今日、鎌倉に行ってきました。目的は”うさまんを食べに”です。
 ”うさまん”は、桜庭一樹の”荒野”に登場する主人公の荒野さんがお友達と食べに行くスィーツ。 ”ええおっちゃんが、わざわざ鎌倉まで、お饅頭を食べに行くか?”という突込みがありそうですが、財力にまかせた聖地巡礼(*2)はオトナの特権です!(といっても電車賃 片道500円ちょっとですけど)

 お店のマスターに聞いてみたところ(聞くか、ふつー?)、桜庭一樹のサイン入りの”荒野”を持参された方もいらっしゃっとのこと。
 マスターの説明によると”荒野”に登場する”うさまん”は、鎌倉ニュージャーマンの”かまくらカスター”と、風花の”うさぎ饅頭”をあわせた桜庭一樹のオリジナルとのこと。ちなみに、”かまくらマスター”はブルーベリー味もありますが、うさぎの形はしていないそうです。小町通りの”かの鎌倉”では店内で食することもできるようです。

 さて、このお話の主人公の荒野さん。恋のお相手は悠也くん。悠也くんは、お父さんの再婚相手の連れ子にして、同級生です。中学校1年生にして、”青年は荒野をめざす(*3)”を愛読し、ジャズ好きなど、精神的には青年です。
 お父さんは(*4)、娘には”蜻蛉(かげろう)のようなと”いわれていますが、有名な恋愛小説家(ちょっと、えっち系)。でも、娘の名前が”荒野”というのは、ちょっとおかしなネーミングセンスだぞ。
 
 お父さんの再婚に伴って、荒野さんと悠也くんは同居することになりますが、裕也くんだけ離れ済むことに。最初は”年頃だしね、”って言われて怒っていますが、けっこう気に入ってしまったようす。そのあと、すぐにアメリカ留学、都内の全寮制の高校に進学。いっしょに住んでいた時間は短いですが、その分、二人でのデートが初々しくてよいです。
 まあ、ライトノベルなので、エッチな展開はありませんが、ちゃんとキスまでしているのはお約束。

 お題の”すこしの孤独は、ここちよいのだ”は、裕也くんが出て行ったあと、離れですごす荒野さんのモノローグ。

 十二歳の荒野には、まだわからなかった
 裕也が・・・ あの少年が、なぜ離れで心地よさそうにすごしていたか。
  (中略)
 いまはちょっとだけ、去年の、十二歳だったあの少年の思いがわかるような気がしている。
 つまり、すこしの孤独は、ここちよいのだ。


 ”酒と本の日々”の単身赴任のお父さんとしては、心にしみるフレーズです。
 お饅頭を食べに、気軽に鎌倉まで出かけていけるし。
 こうでも思っていないと、単身赴任はやっていけません・・・

 発行順では
  荒野の恋(荒野 第一部) 2005年 ファミ通文庫
  荒野の恋(荒野 第二部) 2006年 ファミ通文庫
  私の男(*5)        2007年 文藝春秋
  荒野(書き下ろし第三部) 2008年 文藝春秋
 になります。
 まあ、明るい”私の男”といったところでしょうか?(*6)
 ライトノベルとして読んでも好し、ブンガク作品として読んでも良しです。

《脚注》
(*1)ファミ通文庫
 ファミ通はエンターブレインが発行の家庭用ゲーム専門雑誌。ファミ通文庫は同社ライトノベル系文庫レーベルです。最近では、“文学少女”シリーズ(野村美月)がお勧め。
(*2)聖地巡礼
 コミックやアニメに登場した場所を散策することを聖地巡礼といいます。オタクな趣味と思われるかもしれませんが、今やその手の集客力は侮れません。”らき☆すた”に登場した鷲宮神社の初詣客は10万人単位で増加しますし、(2009年度は42万人で埼玉県内2位)、トトロの家のモデルが全焼(2009年2月14日)が全国ネットで放映される時代です。
(*3)青年は荒野をめざす
 五木寛之原作の小説。ただいま改めて読書中なので、詳細は別のお題で
 学生時代は、”蒼ざめた馬を見よ”、”青春の門”、”戒厳令の夜”、”四季・奈津子” など、五木寛之はよく読みました。まあ、青春のバイブルといったとこでしょうか。
  作詞 五木寛之、作曲 加藤和彦で、ザ・フォーク・クルセダーズが同名の曲を歌っています。
(*4)お父さんは~
 ”私の男”もそうですが、桜庭一樹の書く父娘関係はどっか歪んでいます。家で、娘のことを”黒猫ちゃん”と呼ばせているし。私んちでこんなことやったら、娘は口きいてくんないだろうな~。それに、
  恋知らぬ、猫のふりなり 玉遊び(正岡子規)
と言えるほど、お父さんはまだ、達観できてないぞ!
(*5)私の男(桜庭一樹 文藝春秋)
 第138回、直木賞受賞作。
 桜庭一樹はライトノベル作家を人前で堂々と言えるようにしてくれた功労者です。
 その喜びは”「桜庭一樹が好き」と言えるしあわせ”で書いてます。
 (このブログはココログニュース(@nifty)にも取り上げてもらいました!)
(*6)明るい”私の男”~
 ライトノベル(LightNovel)のライトは”軽い”のほかに、”明るい”という意味もあります。和製英語ですが、最近はinternationalに通用するとのこと(Wikipediaには英語のページが存在します)

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コメント

こんばんは。はじめまして。
コメント、ありがとうございました♪

鎌倉、行って来はったのですねえ。

>財力にまかせた聖地巡礼はオトナの特権です

ははは。そうです、そうです。
そして、うさぎ好き?としては放っておけないかわいらしさのうさまんにうっとり。
私も行ってみようかな。

10年以上前かな、鎌倉のどこだったか忘れたけど手打ちうどんの店に入ったあって、7月の暑い日だったのでざるうどんを頼んだ時に、あとで”うどん湯”なるものがでてきたことがありましたよ。そば湯とは違ってあんまり意味が無いと思うけど・・・。小麦粉が溶けたただのお湯、実際そんな味だった。

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