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卯の花開く現世(うつせみ)に(架空の森/卯の花)

【本】架空の森(川原泉 白泉社文庫”美貌の果実”に収録)
 無口な中学生、苑生(そのお)さんと、やたらよくしゃべる小学生の織人(おりと)くんは、武士道ごっこに明け暮れる毎日。あるとき殺し屋はやってきて織人くんの命を狙う。はたして織人くんの出生の秘密とは・・・

【花】卯の花(うのはな)
 別名、空木(ウツギ)。5~6月に白い花が咲きます。卯月(うづき)は旧暦の4月(今の暦では4月下旬~6月上旬ごろ)に卯の花が咲くから。花言葉は”秘密”、”謙虚”

20080523014508

 

写真は”Lensを通して・・・”より






 


今日、大学のクラブのOB会があり、出席してきました。大部分の方がアラかん(*1)なので、アラふぃふの私も年少さん組です。
 OB会の恒例で、最後に歌われるたのが、大学の逍遥歌”桜花爛漫(おうからんまん)”です。プロローグの一部を抜粋しますと

  卯の花開く現世(うつせみ)に 血潮の嵐渦を巻く
  ここ城南の一聖地 香陵に育まれし我等が○大健児
  我等が青春の喜びは胸に溢れ 腕(かいな)に熱き血潮のたぎるを覚ゆ

 ところで、OBになってからも含めて、かれこれ30年近く歌っていますが、卯の花のことをよく知らないんですね。で、よい機会なので調べてみました。

 春に白い花が咲くきますが、植物の名前としては空木(ウツギ)。空木の花だから卯の花です。アジサイ科の植物なのは意外でした。Wikipediaを見たところ、植物の卯の花よりも、卯の花=”おから”のほうが情報量が多いんですよね。Yahoo!でも、おからのほうが沢山でてくるし。

  卯の花の匂う垣根に 時鳥(ホトトギス) 早も来鳴きて

で始まる”夏は来ぬ”の作詞は、国文学者で”新訓・万葉集(岩波文庫)”などの編者である佐佐木信綱。”サラダ記念日(*2)”の著者 俵万智のお師匠さんである佐佐木幸綱のお祖父さんにあたります。

 万葉集にはホトトギスとセットで24首(23首との記載もあり)もあるそうですが、古文は共通一次と共に(*3)過去に置いてきましたので、最近のものとして、川原泉の”架空の森”をご紹介。

 卯の花のエピソードが登場するのは殺し屋騒動が片付いて、織人くんが苑生さんのもとを去った後。ぼけだしたおばあちゃんが、ひと時正気にもどって、卯の花が舞い散る森のの中でのこと。

  森には人が 来ては去り  来ては去り
  白い花は  咲いては散り 咲いては散り
  その花を 卯の花という・・・

 最初に読んだときは、なんで入っているかわからないエピソードと思いましたが、よく読むと、季節(時)のうつろいと、喪失感をイメージしているんですね(*4)。Amazon.comのカスタマレビューで、”架空の森は、喪失と獲得の物語”と書いてありましたが、うまいこと表現するなと関心しました。

 それまでは、”食欲魔人シリーズ(*5)”に代表されるコミカル色の強い作品が多かったですが、この作品あたりから、コミカルな中にシリアスさのスパイスを利かせた作品が増えてきます。後の、”笑う大天使”後半3部作(*6)への原点が見えるような気がします。 

 わけのわからん映画版”笑う大天使”(*7)ではない、本当の川原泉を知って欲しいので、ぜひとも読んでいただきたい1冊です。

《脚注》
(*1)アラかん
 ”アラかん”は"Around還暦”つまり、60歳前後のこと。幹事のご挨拶でおっしゃってました。ちなみに”アラふぃふ”は”Around50”。
(*2)サラダ記念日
  「この味がいいね」と君が言ったから 七月六日はサラダ記念日
 1987年発刊。280万部という短歌集としては異例のベストセラー。娘の国語の参考書にも名前が載っていました。確か、初版かそれに近い版で買った記憶があります。
 会社のお嬢さんに”面白いよ”といって貸してあげましたが、”あんたのイメージに合わん!”と言われてしまいました。
(*3)共通一次と共に
 すいません、見栄張りました。一期校、二期校の時代(~1978年)の時代も受験しています。
(*4)季節(時)のうつろいと~
 卯の花のエピソードのあと、ばーさまが亡くなり、四十九日の翌朝、じーさまも逝くます。ばーさまが寂しくないよーに、なるだけ急いで。苑生さん曰く
  本当に仲の良い夫婦だったのだ
(*5)食欲魔人シリーズ
 やたら食うことに執着する人々を描いた、初期の代表作。”空の食欲魔人(白泉社文庫)”に収録。”不思議なマリナー”を読むと釣りに行きたくなります。
(*6)笑う大天使(ミカエル) 後半3部作
 ”空色の革命”、”オペラ座の怪人”、”夢だっていいじゃない”の3作。前半と同じ猫かぶり3人娘の話ですが、ぜんぜん違う読後感です。ぜったいお勧め。
(*6)わけのわからん映画版”笑う大天使”
 上野樹里のかわいさをもってしても、あの映画のひどさは救えんぞ! 小田一生監督は原作のよさを理解できていると思えん! なぜ、あのシナリオで川原泉がOKを出したかが不思議。


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