烏丸丸太町?(マルタの鷹/サンフランシスコ)
【本】マルタの鷹(ダシール・ハメット 早川書房他)
【DVD】マルタの鷹(主演:ハンフリー・ボガート 監督: ジョン・ヒューストン)
サン・フランシスコの私立探偵サム・スペードが、黄金の鷹像をめぐる争いに巻き込まれるハードボイルド小説の傑作。
【旅行】サンフランシスコ(San Francisco)
、アメリカ合衆国西海岸にある、カリフォルニア州の北部に位置する都市。意外にも、カリフォルニア州の州都はサンフランシスコでも、ロサンゼルスでもなく、サクラメントです。州知事は、アーノルド・シュワルツェネッガー。
写真は”ゆんフリー写真素材集”より
会社のお嬢さんから年賀状をいただきました。美しいヨットハーバーの写真に、”MALTA"の文字が。”烏丸丸太町?(*1)”と聞きましたら”それば違います!”とのこと。で、”マルタの鷹のマルタ?”と問い直すと、”それは知りません!!”と言われました。で、今回は”マルタの鷹”のお話です。
(ちなみに、昨年旅行に行ったマルタ島の写真が正解です。い~な~~)
”マルタの鷹”はダシール・ハメットのハードボイルド小説。私はマーロウ派(*2)なので、今まで読んだことはありませんでしたが、これを機会に本とDVDを見ました。
いや~、はまりました。
主人公のサム・スペードは頭脳明晰にして、敵の仲間割れを誘う狡猾さ、依頼人の美女に愛されたりとモテモテなのに、自分の矜持のためにその女性を警察に逮捕させるクールさと、なかなかに屈折した人物です。
DVDで、サム・スペードを演じるのはボギーことハンフリー・ボガート(*3)。また、これがかっこいい! 1940~50年代を代表する名優ですが、みごとに男のダンディズムを体現しています。紙巻タバコを巻くシーンも実にさまになってるし。
本の題名は”マルタの鷹”ですが、マルタ島は出てきません(*4)。で、旅行としては舞台となったサンフランシスコを。
サンフランシスコは、今でこそシリコンバレー(*5)、UCバークレー(*6)とコンピューター業界とのつながりのイメージが強いですが、スペードが私立探偵をしているわ、沖合いにアルカトラズ島(*7)があるわ、ショーン・コネリーとニコラス・ケイジがカーチェイスをするわと(*8)、映画の舞台としてはけっこうハードな街です。
でも、ゴールデンゲートブリッジ、ロンバード・ストリート、フィッシャーマンズワーフなど、見所の多い良い所です。奥様にせがまれて実際に行ってみましたが、風光明媚な素敵な街です。アメリカの中では比較的日本に近いので、観光で訪問するにはお勧めです。
最近ははるな愛(*9)やオネエ系がブームですが、”強い男を感じてみたい”とお思いの女性にはお勧め。DVDは”カサブランカ”と2本セットで500円(宝島社)と、レンタルビデオで借りるよりお徳です。
年賀状をくれたお嬢さんは、ラテン系の男性がお好みとのことですが、たまにはこんなのもいいですよ。
《脚注》
(*1)烏丸丸太町
京都市中京区(なかぎょうく)の地名。”からすままるたまち”と読みます。鳥(とり)ではなく、烏(からす)、四角の真ん中に線がありません。阪急電車の駅があるので関西人にはおなじみですが、関西地区以外の人には放出(はなてん)と並んで読めない地名の筆頭。もちろん、海はありません。
(*2)マーロウ
フィリップ・マーロウ。レイモンド・チャンドラーのハードボイルド小説に登場するロサンゼルスの私立探偵。最近では”ロング・グッドバイ(長いお別れ)”が村上春樹訳で出版されました(早川書房)。マーロウの名セリフ「男はタフでなければ生きて行けない。優しくなれなければ生きている資格がない」(角川書店 「野生の証明」のキャッチコピー)はぜひ私生活でも言ってみたいものです。
(*3)ボギーことハンフリー・ボガート
”ボギー”はハンフリー・ボガートの愛称。沢田研二の”カサブランカ・ダンディ”で、
ボギー ボギー あんたの時代はよかった 男がピカピカのキザでいられた
と歌っているあれです。”カサブランカ”もボガード主演の名画です。
(*4)マルタ島は出てきません
”マルタの鷹”は、聖ヨハネ・ホスピタル騎士団がスペイン皇帝からマルタ島を下賜されるしるしとして献上した鷹の像のこと。ほとんど、インディー・ジョンズの世界かも。(*5)シリコンバレー
アップル、インテル、オラクル、サンマイクロ、Yahooと世界有数のIT企業があります。
(*6)UCバークレー
正式名称は”カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)。高い時計塔のある、たいへん美しいキャンパスですが、同時にノーベル賞受賞者を多数輩出する世界有数の難関校でもあります。
年配のコンピュータ技術者にはバークレー版UNIX”BSD(Berkeley Software Distribution)”を開発した大学として有名。
(*7)アルカトラズ島
ここにはかつて脱獄不可能といわれた連邦刑務所があり、かつて暗黒街のボス、アル・カポネが収容されていました
(*8)ショーン・コネリーと~
映画”ザ・ロック”より。アルカトラズ島を占拠したテロリスト軍団に、FIBの化学兵器スペシャリスト(ニコラス・ケイジ)と、アルカトラズ島を脱獄した男(ショーン・コネリー)が戦いを挑む。ショーン・コネリーの存在感が圧巻。そういえば、ショーン・コネリーは、”アンタッチャブル”で、カポネとも戦ってましたね。
(*9)はるな愛
この人をTVで見て以来、新人女性アイドル(に見える人)が登場するたびに、奥様にに”この人女性?”と聞くようになりました。
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わぁ~い!やっと参加できる内容が出た。レイモンド・チャンドラーの空気感が好きで20代後半にハードボイルドにはまり、日本では生島治郎や北方謙三を読み漁っていました。まさに自分に無い物へのあこがれですな。サンフランシスコはハリー・キャラハンのいる街でもありますよ。バブルの頃私も仕事でいきました。今度いつ行けるだろう。
投稿: YO~YO~ | 2009年1月22日 (木) 23時42分