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愛しても愛しても、ああ他人の妻(人間失格/さざんか)

愛しても愛しても、ああ他人の妻

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写真はたいちろ~さんの撮影



【本】人間失格(太宰治 集英社文庫他)
 第一の手記(自分が道化であると告白)、第二の手記(酒、煙草、淫売婦と左翼思想に溺れる告白)、第三の手記(自分はもはや人間を失格したのだと告白)からなる私小説形式のフィクション。
【花】さざんか
 名前は中国語でツバキ類山茶(さんさん)が訛ったものに由来するそうですが、学名もCamellia Sasanqua(属:ツバキ、種:ササンカ)です

 寮の庭に赤い花が咲いたので、寮のおばさんに聞いたところ”さざんか”とのこと。で、今回はさざんかのお話。

 さざんかといえば、やはり大川栄策さんの”さざんかの宿”(*1)。童謡”たきび”(*2)の印象から、冬にがんばって咲いている元気よさそうな印象でしたが、実物をじっと見るとピンク色の薄い花弁がはかなげで、幸せ薄そうな”さざんかの宿”のほうがイメージにあっています。花嫁衣裳の白でなく、情熱の赤でなく、それでいて桃色の薄絹をまとったようなほのかなお色気みたいな。表題の”愛しても愛しても、ああ他人の妻”は”さざんかの宿”のサビの部分ですが、日本の奥ゆかしい不倫のありよう(*3)にはぴったりです。
 カラオケおぢじさんの定番ソングですが、ただ、場所を選ばないと大騒ぎになります。会社の忘年会で、美人の人妻がいたりするところで歌ったりなんかすると、昨今セクハラと言われかねません。

 不倫の本となると、フランス書院文庫(*4)方向に行っちゃいかねませんので、今回は文学作品の”人間失格”を。(Wikipediaで不倫を見ると”不倫がテーマとなった小説”に出ています)
 ”恥の多い人生を送ってきました”で始まる日本で最も有名なこの小説の主人公は、逃避のはてに人妻に手をだすわ、心中事件をおこすわ、モルヒネ中毒になるわで、もう”ドロドロやね(*5)”状態です。不倫といった色気のある話ではありません。最近、改めて読みましたが、よく学校で紹介するよね~、といった感じです。

 ”人間失格”は最近良く売れているそうです。なんでも、集英社文庫で”DEATH NOTE(*6)”を連載した漫画家 小畑健が表紙を担当したからとのこと。表紙の絵で売り上げが上がるんだから、ライトノベルのことを云々言われたくないですね(*7)。ちなみに、この路線で、 地獄変 (芥川 龍之介)、こころ(夏目漱石)を小畑健が、伊豆の踊り子(川端康成)を荒木飛呂彦(*8)が表紙を執筆しています。

 最近読んだ理由は、"文学少女と死にたがりの道化(ピエロ)”(*9)に出てたから。やっぱしそっち系かといわれそうですが、私はこういうテレフォンショッキング(*10)的な本の選び方をよくします。本歌取(ほんかとり)であったり、背景の類似性を示唆したりとか使い方はさまざまですが、意外な本が意外な本に繋がったりして面白いものです。

 ”人間失格”を今さらお勧めは不要でしょうが、気分が落ち込んでいるときには読んではいけない劇薬です。

《脚注》
(*1)さざんかの宿
 1982年の大ヒット曲。作詞 吉岡治、作曲 市川昭介
 ちなみに、作曲の市川昭介は”いなかっぺ大将”の主題歌も手がけています。なるほど、もろに演歌だし、歌っているのは天童よしみだし。
(*2)たきび
 ”さざんか さざんか さいたみち たきびだ たきびだ おちばたき”
(*3)奥ゆかしい不倫のありよう
 奥様へ。決して不倫に憧れている訳ではありません。念のため。
(*4)フランス書院文庫
 日本を代表する官能小説のレーベル。人妻、OL、女教師が、○○したり、××したりしています。登場する女性が比較的高年齢なのが特徴。低年齢(女子高生とか)が好きな方は美少女文庫というレーベルがあります。ええ、読んでませんともさ。
(*5)ドロドロやね
 板垣恵介の格闘コミック”バキシリーズ”(少年チャンピオンコミックス)に登場する合気柔術の達人、渋川剛気(しぶかわ ごうき)の名セリフ。相手に脳震盪をおこさせたあとの一言。
(*6)DEATH NOTE
 少年ジャンプに連載されて大ヒットしたコミック。名前を書かれた人間は死んでしまうという死神のノートをめぐる物語。私は読んでいませんが、中学生の長男がはまっています。
(*7)ライトノベルのことを~
 ライトノベルは表紙(多くは萌え絵)の出来、不出来で売上がかわるといわれています。いわゆるジャケ買い(表紙のイラストだけ見て衝動的に購入してしまうこと)。でも、おぢさんが買うにはちょっと恥ずかしいぞっと。
(*8)荒木飛呂彦
 漫画家。代表作は”ジョジョの奇妙な冒険”。Amazon.comの”ユリイカ 総特集=荒木飛呂彦(2007年11月臨時増刊号)”の紹介文では”若沖や光琳などに比して遜色ないものである”と評価している。
(*9)"文学少女”と死にたがりの道化(ピエロ)
 野村美月のライトノベル(ファミ通文庫)。ジャンルとしては推理小説ですが、嵐が丘(E・ブロンテ)、友情(武者小路実篤)、銀河鉄道の夜(宮沢賢治)といった有名な小説をモチーフにしています。
(*10)テレフォンショッキング
 お昼のバラエティ”笑っていいとも!”の人気コーナー。ゲストが次のゲストを紹介していく形式ですが、意外な人が意外な人を紹介するのも魅力。

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